ミヒャエル・ゾーヴァ展
横浜そごうで開催中の「ミヒャエル・ゾーヴァ」展に行ってきました。(9月27日(日)まで)
ミヒャエル・ゾーヴァは、1945年、ドイツベルリン生まれの画家で、風刺にとんだイラストや、絵本『ちいさなちいさな王様』などの挿絵で知られています。映画『アメリ』の、アメリの寝室に飾られた、エリザベスカラーの犬の絵や豚のランプ、と言えば、思い出す人も多いのではないでしょうか。本展では、代表作はもちろん、日本初公開の作品を含む約130点を見ることが出来ます。
≪映画『アメリ』で使われた「治療中の犬Kranker Hund」≫
≪ 遺伝子操作されたひよこ、マグデブルグを襲撃
Gen-Kuecken bei Magdeburg ≫
展示作品のなかで異色なのは、「緑の党」のための選挙ポスター。
ドイツの「緑の党」といえば、今や連立政権の一翼を担おうという政党ですが、設立当初は学生運動に毛が生えた程度の団体でした。そこでゾーヴァが友人のために手描きの選挙ポスターを作ったそうです。今では「お抱え絵師」と見られるのを避けて距離を置いているとのことですが、画家の業績をたどる上で貴重なものです。
ゾーヴァは、同じテーマで幾つも作品を作ったり、一度世に出した作品でも、何度でも加筆修正を加えるそうです。本展では、ある出版社のポスターとその原画が展示されていましたが、まるで別物のようになっていました。
それと今回の展覧会で私が一番の収穫だったと思ったのは、「白い黒人のヴンババDer weisse Neger Wumbaba. Kleines Handbuch des Verhoerens」。
作者であるアクセル・ハッケが南ドイツ新聞で、聞き間違えや思い込みで覚えた歌について、コラムを書いたところ、読者から実例つきの反響が殺到。
それを書いてまとめたものの挿絵をゾーヴァが描いた絵本で、未邦訳ですが、ドイツではすでに3冊出ています。ドイツ版「空耳アワー」?
本のタイトルにもなった、白い黒人のヴンババDer weisse Neger Wumbaba(デァ ヴァイセ ネーゲル ヴンババ)は、M・クラウディウスの「月が昇る」という美しい童謡の
白い霧が立ちこめて美しい・・・
Der weiße Nebel wunderbar.
デァ ヴァイセ ネーベル ヴンダバール
という歌詞を聞き間違えたもの。
こういう聞き間違いの数々が、ゾーヴァのユーモア溢れるイラストに仕上げられていて、思わず会場で噴出してしまいましたよ。
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Der weisse Neger Wumbaba. Kleines Handbuch des Verhoerens 著者:Axel Hacke,Michael Sowa |
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