「海のエジプト展」感想
海底に眠っていた、2000年前の古代都市がよみがえる――。
思いたって行ってきました、『海のエジプト展』。チケットを買うのにも並ぶと聞いていたので、桜木町駅の改札の近くにある案内所で、当日券(2,300円)をあらかじめ購入。12時前だったので、ガード下のバビーズに入って腹拵え。
≪バビーズバーガー。ドリンクとセットで1,050円≫
会場入口では、噂どおり長蛇の列。15分は確実に待ちそう。平日でさえこうだから土日はすごいだろうな。音声ガイド(500円)を借りて鑑賞開始。
「クレオパトラが愛した都、アレクサンドリアの沖合から引き上げられた遺物を紹介する展覧会。巨大なファラオや女神、スフィンクスなどの石像や、宝飾品、コインなど約490点すべてが日本初公開です。」(公式HPより)
フランス人海洋考古学者、フランク・ゴディオ氏が中心になって、1992年、発掘プロジェクトが開始されました。アレクサンドリアなどの都市が海に沈んだ理由としては、地震や海水面の上昇、地盤沈下などが考えられるそうです。長年の海底探査により、海中より姿を現し、修復作業の結果、それがよみがえって日本にまでやってきたなんて、奇跡としか言いようがありませんね。
展覧会では、アレクサンドリア、ヘラクレイオン、カノープスという3つの古代都市を、都市ごとに発掘された遺物に分けて紹介しています。
当時、この3つの都市は異なる性格を持つものとして存在しました。
聖なる癒やしの都、カノープス。この街は、セラピス神を祭る大きな神殿があり、たくさんの巡礼者が訪れた街でした。
ここでは「王妃の像」に注目。水から上がったばかりのように透ける衣が艶かしい。
神々とファラオが出会う都、ヘラクレイオン。
本展の目玉とも言える、豊穣神ハピ、ファラオ、王妃の約5メートルの巨像は、このコーナーに展示されています。遠くから見てるとそう思わなかったのに、近づくとやはり大きい!左足を前に出す、独特のポーズをしています。これらは神殿の入口に建てられていたと考えられています。
≪ 右から、ハピ神、ファラオ、王妃。会場では順番が逆だった≫
ヘラクレイオンは、ヘラクレスに捧げられた大神殿があった街であると同時に、エジプトと地中海世界との玄関口でもあったため、「輸入品全部に関税をかける」と、ヒエログリフで書かれた石碑(ステラ)が残されています。展示されているステラは、碑文が下を向いて砂の中に埋もれていたためか、今でもくっきりはっきり字が残っています。遺物の硬貨などから、この街は8世紀ごろ水没したのではないかと考えられているそうです。
エジプト第2の都市で、クレオパトラが愛した都、アレクサンドリア。
「オシリス・カノポス壺を抱く神官像」や、クレオパトラとカエサルの息子・カエサリオン像の頭部」があります。
最後に、「ヴァーチャル体験シアター」に入りました。このバーチャルリアリティによる再現映像は、日本オリジナルの展示だそうです。15分ほどの映像なので、そんなに並びません。画面にはCG映像の海底が映し出され、ナビゲーターの持つコントローラーで海底を行ったり来たり。まるで探査に参加しているようなリアルさでした。そのあとは、古代アレクサンドリアの街にタイムスリップ。道路が碁盤の目のように張り巡らされた、美しい街だったようです。沖合いには「古代世界の七不思議」のひとつである、「アレクサンドリアの大灯台」がありました。
このほか、水中発掘現場を再現したジオラマやビデオ映像を見ることが出来たり、古代エジプトの香りを再現したコーナーもありました。
平日の昼間だったせいか思ったほどの混雑もなく、12時半に入場して、急ぎ足で見て約一時間でした。パシフィコ横浜内のカフェやレストランでは、本展にちなんで、エジプト料理を出しているところもあります。歴史のロマンを堪能したあとは、ここで食べてみてはいかがでしょうか。
公式ホームページ http://www.asahi.com/egypt/
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- シアターコクーン『罪と罰』感想(2019.01.19)
- 「呼応する木々 in GINZA SIX GARDEN」(2018.09.05)
- 音楽堂ニューイヤー・コンサート「日本の音でお正月!」2016 感想(2016.01.17)
- 『始皇帝と大兵馬俑』展 感想(2016.01.15)
- 「河鍋暁斎」展感想(2015.06.28)
コメント