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DVD『宮廷画家ゴヤは見た』感想

18世紀末のスペイン。宮廷画家でありながら、権力批判と社会風刺に富んだ作品も精力的に制作し続けるゴヤ。
彼に肖像画を依頼した、異端審問を強硬するカトリック教会の神父ロレンソは、ゴヤのアトリエで裕福な商人の娘で、天使のように美しいイネスの肖像画に目を留める。
居酒屋で豚肉を食べなかったという理由でユダヤ教徒と疑われ、イネスは異端審問所に捕らえられる。
彼女を救ってほしいとゴヤに頼まれたロレンソは、拷問を受け牢に繋がれたイネスに面会する。
イネスの家族は多額の寄付と引き換えに彼女の釈放を願うが、すでにイネスは拷問に耐えかねて嘘の告白をしており、釈放は認められなかった。業を煮やした家族はロレンソを痛めつけて、「自分は猿だ」という書類にサインさせる。娘が戻らなければこれを公表するといって・・・。
ロレンソは行方を絶った。
ときに1793年。フランスでは革命が起こり、国王ルイ16世が断頭台に消えた。

それから15年後。革命後に台頭したナポレオンは絶頂期を迎え、スペインの内紛にも介入し、自分の兄をスペイン国王に据えた。
ゴヤは耳が聞こえなくなっていたが、「自由・平等・博愛」を掲げたフランス軍が、民衆に対して暴虐の限りを尽くすのをその目で見、作品に残した。

支配者フランス側の責任者として現れたのは、ロレンソ神父だった。出奔後フランスに逃れたロレンソは革命思想を受け入れ、手の平を返すように今度は教会を弾圧した。
異端審問所が廃止され、イネスも釈放された。しかし15年の歳月は彼女の若さと美しさを奪っていた。そんなイネスの口から、ゴヤは彼女がロレンソの子を産んだことを聞かされる。
真相を確かめようと、イネスと共にロレンソを訪ねたゴヤだったが、ロレンソは彼女を精神病院に追いやってしまう。

子どもの行方を調査したロレンソは、アリシアという娼婦がそれだと知る。アリシアもろとも娼婦たちを取り締まってアメリカに追放しようとしたとき、イギリスがスペインに進軍、国王も逃げ出したという知らせが入る。
ロレンソも家族と共に逃げ出そうとしたが、教会を支持する村人らに捕らえられ、今度は彼が裁判にかけられる。改悛を迫られても応じなかった彼は、群衆が見守る中で処刑される。その中に、正気を失ったイネスと、イギリス軍将校のそばに侍るアリシア、そしてゴヤがいた。

最初、神父が異端の娘をかばって・・・という話だと思っていましたが、全然違いましたね!ゴヤを語り部とした、スペイン版大河ドラマでした。ゴヤと愛人関係にあったアルバ公爵夫人とか、「マハ」の話もなかったし。
時代は18世紀末~19世紀初頭。フランス革命と同時期、スペインではあんな異端審問がまかりとおっていたなんて。
ミロス・フォアマン監督は、この時代のスペインが、当時共産主義社会だった自分の国チェコと似ていると思って、この映画のアイデアを思いついたそうです。この時代を描くのに、風刺画を描いたゴヤがうってつけと考えたとか。

姑息な神父ロレンソを、ハビエル・バルデムが怪演。「拷問されたとしても、神が耐える力を与えてくれる」と言っていたのにあっさり暴力に屈したり、自分を頼る無垢な少女を欲望の餌食にしたり、異端とみなした革命思想に、何のためらいもなく鞍替えしたり、いけ好かない男ですが実に説得力があります。
でもこの人、こんなブヨブヨした人だったっけ?と一瞬ショックを受けました。私のバルデム像は『夜になる前に』で止まっていました(笑)。
ゴヤがロレンソの肖像画を描いているシーンで、「手を描くと追加料金」と言われて手を上着の下に引っ込めたのが笑えました。

公式サイトhttp://www.goya-mita.com/flash.html

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