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DVD『扉をたたく人』感想

扉をたたく人

 コネチカット州で大学教授をしているウォルターは、妻を亡くして以来心を閉ざしていた。
 ある時、学会のためにニューヨークに出張し別宅のアパートを訪れるが、そこには見知らぬ外国人のカップルがいた。ジャンベ奏者のシリア系男性タレクと、アクセサリーを作って売るセネガル系女性のゼイナブ。詐欺にあってウォルターの家を貸されたのだった。
 行くところのない二人に同情し、そのまま部屋に泊めることにしたウォルター。人懐こいタレクはウォルターにジャンベの演奏法を教え、親子ほどの年齢差がありながら二人はジャンベを通じて友情を深めていく。
 ある日タレクに誘われ、ウォルターは公園でのストリートセッションに加わる。初めての体験に充実感を覚える。
 しかし、タレクは地下鉄で無賃乗車を疑われて逮捕されてしまう。実は不法滞在者であるタレクは、入管の収容施設に送られる。
 何とかして彼を釈放させようと奔走するウォルターの前に、タレクの母モーナが現われる。
 大学を休職してまでタレクのために動くかたわら、ウォルターは美しく芯の強いモーナに惹かれていく。
 しかし努力の甲斐もなく、タレクはある日突然国外追放されてしまう。人を物扱いするようなやり方に、ウォルターは怒りを爆発させる。
 二度とアメリカに戻れないと知りつつ、タレクを追ってモーナもシリアへ行くことにした。「ハビティ(愛しい人)」と呼びあい、別れを惜しむ二人。
 ウォルターが、地下鉄の駅でジャンベを一心不乱に叩く。あの日、公園に行く途中でタレクが「こんな場所で演奏したい」と言った言葉を胸に秘めて。

論文を共著などといっても名前を貸しただけ。授業の内容も20年間一緒。忙しいふりをして実は何にもしていない。そんな虚しい日々が、タレクたちとの出会いで一変する。
ジャンベとは西アフリカの太鼓。背広着た初老の白人男性が、陽気なアフリカン・ビートにノリノリになっている姿は、はじめ違和感があるけど、最高に楽しそう!

なんかこの前見た『路上のソリスト』もそんな展開でしたね。
しかしいくらなんでも、見ず知らずの人間を泊めてやろうとはいきなり思わないよね。知らず知らず「心の扉を叩いてくれる人」を求めていたんじゃないのかな。そのあとも結構積極的に彼らに関わろうとしています。

テーマになっているのは、アメリカの移民問題。以前は移民に対して寛容な立場をとっていたアメリカですが、9・11以降「扉」を閉ざすようになってしまいました。
地下鉄での逮捕も、アラブ系であるタレクが狙い打ちされたような感じ。「自由に演奏したいだけだ。それが罪なのか?」とタレクに訴えられるが、「疑わしい奴は追い出せ」という当局のやり方に、ウォルターはなす術がない。

声高にメッセージを叫ぶわけでもなく、「お涙ちょうだい」に流れていない。
ただ、地下鉄でジャンベを叩くウォルターを見れば怒りが伝わってくる。そんな抑制の効いた、いろいろ考えさせられる映画でした。

公式ホームページ:http://www.tobira-movie.jp/

 

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