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ベルンハルト・シュリンク著『週末』感想

週末 (新潮クレスト・ブックス)Book週末 (新潮クレスト・ブックス)

著者:ベルンハルト シュリンク
販売元:新潮社
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「赤軍派テロを首謀した男が、恩赦を受けて出所した。旧友たちの胸に甦る、失われた恋、裏切り、自殺した家族の記憶。あのとき彼らが正しいと信じた闘争は、いくつもの人生を決定的に損なった。明らかになる苦い真実と、やがて静かに湧き上がる未来への祈り――。世界的ベストセラー『朗読者』の著者が描く、「もう一つの戦争」の物語。」(新潮社ホームページより)


20年ぶりに出所したばかりのイェルクは、姉クリスティアーネに伴われて、彼女とその同居人マルガレーテが暮らす郊外の屋敷に向かった。
姉は初めての週末のために、イェルクのかつての仲間を呼び寄せた。彼らは政治活動からは早々に身を引いて、それぞれの道を歩んでいた。どんな言葉を交わしたらよいのか、イェルクも含めてみんな戸惑っていた。

そこへ若い男が紛れ込む。彼こそがイェルクの生き別れの息子、フェルディナンドだった。息子は父を糾弾する。「ナチスと同じで、真実を見つめることも、悲しむことも出来ない」「自分たちの両親の世代を殺人者の世代と呼んで腹を立てたけど、自分たちも殺人を犯した父となってしまった」

シュリンクの作品でよく見られる、「父と子の対立」「ある世代を次の世代が裁く」という図式がここでも見られます。

「過ちを認め、すべてを償った」というイェルクとフェルディナンドの対立は平行線をたどりますが、それでも最後には和解とはいえないまでも息子は歩み寄りの姿勢を示してくれます。

最後の朝、雨のために水浸しになった地下室の水を協力して汲み出し、そして朝食を食べてから、それぞれ旅立っていく――。
『帰郷者』は、あっと驚く結末を迎えたけれど、こちらは静かな余韻を残して終わります。


イェルクは友人へナーが自分を密告したと考えていたが、実はクリスティアーネがそうしたのだった。
母親代わりとなって弟を育てたクリスティアーネとイェルクには、母と息子のような、一種の近親相姦的な絆があった。イェルクとクリスティアーネの関係も興味深かった。

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