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カルロス・バルマセーダ著『ブエノスアイレス食堂』感想

『ブエノスアイレス食堂』という、一見のどかな、街の片隅にあるような食堂を舞台にしたある家族の物語を想像させるような題名なのに。なにか事件が起こるのは分かってましたが。

まさか 食 人 鬼 の話だとは、思いもよりませんでしたよ。


 冒頭、1979年、骸骨となった母親マリナの死体と、その隣に横たわる赤ん坊セサル・ロンブローソが、マル・デル・プラタの「ブエノスアイレス食堂」で発見された。
 イタリア移民の双子カリオストロ兄弟は、アルゼンチンのマル・デル・プラタのホテル厨房で働くマッシモ・ロンブローソの薫陶を受け、『南海の料理指南書』を執筆した。双子は1911年に「ブエノスアイレス食堂」を開店するが、相次いで死亡。そのうち第一次世界大戦が勃発し、双子の親戚シアンカリーニ一家が食堂を継ぐが、やがて軍事クーデタが起き、食堂は閉鎖される。
 間もなく食堂は再開されるが、ペロン政権が軍事クーデタで倒れ、縁のあった食堂は暴徒に放火され、消失する。そして1978年、食堂を継いだものの亡くなった、ロンブローソの末裔と結婚していたマリナは、新しい命を宿していた。

その赤ん坊セサルは長じて天才料理人となるが--。

たしかに「街の片隅にあるような食堂を舞台にしたある家族の物語」ではありますね。イタリア人移民の苦難の歴史と、アルゼンチン軍事政権下における悲劇が、「食堂」がたどった数奇な運命に密接に絡んでいます。

セサルはまず初めに自分と対立した料理長を殺し、養母の手にかかった養父の死体を始末した。そして「失踪した」ことになっている料理長や養父のことで、探りを入れてきた警部の肉を食事会で供する。さらには恐怖の余り自分を拒んだ養母まで・・・。

人肉を食べたくて殺した、というのではなく、まさに「片付ける」ために殺して、食べる。セサルが何を思いそうしたのか、という説明は一切なし。

パトリック・ズュースキントの『香水』を思い出しました。あれの主人公は理想の香水を作るために殺人を犯すのですが、そのことに何の呵責もないところとか、似ているな~と思いましたね。

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