最近のトラックバック

« DVD『息もできない』感想 | トップページ | ケント・ナガノ・コンダクツ・ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」、「エグモント」&「ザ・ジェネラル(司令官)」感想 »

ダニエル・アラルコン著『ロスト・シティ・レディオ』感想

年度始めで忙しく、始発の電車に乗って朝7時から夜8時まで働いて、そのうえ土日も出る今日この頃。でも明日でひと段落つくと思うのでもうひとがんばりだわ・・・(ゼィゼィ)。

舞台は中南米と思しき架空の国。その国の首都にあるラジオ局の人気番組『ロスト・シティ・レディオ』は、長きに渡る内戦や戦後の混沌の中で行方不明になった人をリスナーからの電話で探す番組だ。ある日、女性パーソナリティ、ノーマのところに、ジャングルからビクトルという少年が行方不明者のリストを持って訪ねて来る。そのリストの中には、彼女の夫レイの名も含まれていた。

植物学者だったレイは年に何度かジャングルに行くことがあり、現在は「1797村」と呼ばれるビクトルの住む村の付近で起こった激しい戦闘に巻き込まれ消息を絶っていた。
彼はそこで何をしていたのであろうか。
実はレイは、IL(不法集団)と呼ばれる反政府勢力の一員ではないかと疑われるところがあった。ノーマと出会った夜も、彼女の目の前で連行された。「月」と呼ばれる収容所にも行ったことがあると漏らしていた。

ビクトルは、母親が河で溺死し身寄りがなかったため、(首都出身の)担任の教師が首都に連れてきたのだった。ノーマが教師の家を訪ねると、彼はビクトルの母親から託されたビクトルの父親の絵を見せた。それはレイだった。
そこからレイの過去が次々と明らかにされる。

政府が統制のために昔からある地名を消し数字名に置き換えたという設定は、「ありそうでない」の反対で「ありえなくもない」ところが妙にリアル。政府が密告を奨励し、レイもザイールという男に告発されている。ラジオ局に勤めるノーマも、政府の用意したニュースを読み上げることしか出来ず、ILの協力者という理由で禁じられているレイの名を口にすることはない。
恐怖と息も出来ないような閉塞感がこの国を支配している。

物語は、少年がレイの名を番組で読み上げるところで終わります。子どものビクトルは不問に付されるだろうが、ノーマは「月」に送られるだろうと匂わせて。

著者のアラルコンは、この架空の国を舞台にした2作目を執筆中というが、その後のノーマのことも語られるのかな・・・。

« DVD『息もできない』感想 | トップページ | ケント・ナガノ・コンダクツ・ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」、「エグモント」&「ザ・ジェネラル(司令官)」感想 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« DVD『息もできない』感想 | トップページ | ケント・ナガノ・コンダクツ・ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」、「エグモント」&「ザ・ジェネラル(司令官)」感想 »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ