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2013年6月

パウル・ツェラン『死のフーガ(Todesfuge)』

作曲家グランツベルクが影響を受けたというアンソロジー「死はドイツ生まれのマイスター(原題:der Tod ist ein Meister aus Deutschland、未訳)」の題名は、パウル・ツェランの詩『死のフーガ(Todesfuge)』の一節から採られています。
とりあえず、覚え書として記事をアップしておきます。
この死が書かれたのは1945年ごろ。この詩に出てくる「ぼくら」は強制収容所のユダヤ人たちで、「ひとりの男」が収容所の管理者であるドイツ人を指すのでしょう。
dein goldenes Haar Margarete きみの金色の髪マルガレーテ
dein aschenes Haar Sulamith きみの灰色の髪ズラミート
 
「マルガレーテ」はドイツ人女性を表し、「ズラミート」はユダヤ人女性を表現していると考えられています。本来なら黒いはずのズラミートの髪が灰色なのは、彼女の嘗めた辛酸を物語っているものと思われます。
 
Schwarze Milch der Früheも解釈が難しいフレーズですが、しかしこのフレーズもほんとにどう意味をとったらいいか悩みますね。
der Tod ist ein Meister aus Deutschland
「死はドイツ生まれのマイスター」
「死はドイツから来た名手」
 
うーん・・・。
昼も夜もフル稼働するクレマトリウム(火葬場)の黒い煙を見るたびに、苦いものがこみ上げてくる・・・それが「黒いミルクSchwarze Milch」ということなのかな?
自分たちの死を司るのがドイツ人ということで、「ドイツ生まれの親方ein Meister aus Deutschland」・・・というのは無理があるか。
 
 
パウル・ツェラン『死のフーガ』(飯吉光夫訳)
 
Schwarze Milch der Frühe wir trinken sie abends
wir trinken sie mittags und morgens wir trinken sie nachts
wir trinken und trinken
wir schaufeln ein Grab in den Lüften da liegt man nicht eng
Ein Mann wohnt im Haus der spielt mit den Schlangen der schreibt
der schreibt wenn es dunkelt nach Deutschland dein goldenes Haar Margarete
er schreibt es und tritt vor das Haus und es blitzen die Sterne er pfeift seine Rüden herbei
er pfeift seine Juden hervor läßt schaufeln ein Grab in der Erde
er befiehlt uns spielt auf nun zum Tanz
 
夜明けの黒いミルクぼくらはそれを晩にのむ
ぼくらはそれを昼にのむ朝にのむぼくらはそれを夜にのむ
ぼくらはのむそしてのむ
ぼくらは宙に墓をほるそこなら寝るのにせまくない
ひとりの男が家にすむその男は蛇どもとたわむれるその男は書く
その男は書く暗くなるとドイツにあててきみの金色の髪マルガレーテ
かれはそう書くそして家のまえに出るすると星がきらめいているかれは口笛を吹き犬どもをよびよせる
かれは口笛を吹きユダヤ人たちをそとへとよびだす地面に墓をほらせる
かれはぼくらに命じる奏でろさあダンスの曲だ
Schwarze Milch der Frühe wir trinken dich nachts
wir trinken dich morgens und mittags wir trinken dich abends
wir trinken und trinken
Ein Mann wohnt im Haus der spielt mit den Schlangen der schreibt
der schreibt wenn es dunkelt nach Deutschland dein goldenes Haar Margarete
Dein aschenes Haar Sulamith wir schaufeln ein Grab in den Lüften da liegt man nicht eng
Er ruft stecht tiefer ins Erdreich ihr einen ihr andern singet und spielt
er greift nach dem Eisen im Gurt er schwingts seine Augen sind blau
stecht tiefer die Spaten ihr einen ihr andern spielt weiter zum Tanz auf
 
夜明けの黒いミルクぼくらはそれを夜にのむ
ぼくらはおまえを朝にのむ昼にのむぼくらはおまえを晩にのむ
ぼくらはのむそしてのむ
ひとりの男が家にすむそして蛇どもとたわむれるその男は書く
その男は書く暗くなるとドイツにあててきみの金色の髪マルガレーテ
きみの灰色の髪ズラミートぼくらは宙に墓をほるそこなら寝るのにせまくない
かれは叫ぶもっとふかく地面をほれこっちのやつらそっちのやつら歌え奏でろ
かれはベルトの金具に手をのばすふりまわすかれの眼は青い
もっとふかくシャベルをいれろこっちのやつらそっちのやつら奏でろどんどんダンスの曲だ
 
Schwarze Milch der Frühe wir trinken dich nachts
wir trinken dich mittags und morgens wir trinken dich abends
wir trinken und trinken
ein Mann wohnt im Haus dein goldenes Haar Margarete
dein aschenes Haar Sulamith er spielt mit den Schlangen
Er ruft spielt süßer den Tod der Tod ist ein Meister aus Deutschland
er ruft streicht dunkler die Geigen dann steigt ihr als Rauch in die Luft
dann habt ihr ein Grab in den Wolken da liegt man nicht eng
 
夜明けの黒いミルクぼくらはおまえを夜にのむ
ぼくらはおまえを昼にのむ朝にのむぼくらはおまえを晩にのむ
ぼくらはのむそしてのむ
ひとりの男がすむきみの金色の髪マルガレーテ
きみの灰色の髪ズラミートかれは蛇どもとたわむれる
かれは叫ぶもっと甘美に死を奏でろ死はドイツから来た名手
かれは叫ぶもっと暗くヴァイオリンをならせそうすればおまえらは煙となって宙へたちのぼる
そうすればおまえらは雲のなかに墓をもてるそこなら寝るのにせまくない
 
Schwarze Milch der Frühe wir trinken dich nachts
wir trinken dich mittags der Tod ist ein Meister aus Deutschland
wir trinken dich abends und morgens wir trinken und trinken
der Tod ist ein Meister aus Deutschland sein Auge ist blau
er trifft dich mit bleierner Kugel er trifft dich genau
ein Mann wohnt im Haus dein goldenes Haar Margarete
er hetzt seine Rüden auf uns er schenkt uns ein Grab in der Luft
er spielt mit den Schlangen und träumet der Tod ist ein Meister aus Deutschland
 
夜明けの黒いミルクぼくらはおまえを夜にのむ
ぼくらはおまえを昼にのむ死はドイツから来た名手
ぼくらはおまえを晩にのむぼくらはのむそしてのむ
死はドイツから来た名手かれの目は青い
かれは鉛の弾できみを撃つかれはねらいたがわずきみを撃つ
ひとりの男が家にすむきみの金色の髪マルガレーテ
かれは犬どもをぼくらにけしかけるかれはぼくらに宙の墓を贈る
かれは蛇どもとたわむれるそして夢想にふける死はドイツから来た名手
dein goldenes Haar Margarete
dein aschenes Haar Sulamith
きみの金色の髪マルガレーテ
きみの灰色の髪ズラミート

DVD『ファウスト』感想

ドイツの文豪、ヴォルフガング・ゲーテの名作『ファウスト博士』。読む前は、お堅くてつまんないんだろうな、と思っていましたが、ところがどっこい、びっくりするほど猥雑な話でした。
その『ファウスト』を自由に翻案、とタイトルに添えられていましたが、ソクーロフらしさ全開でした。(といっても『太陽しか見たことがないけど。)


19世紀のドイツの町。あらゆる地上の学問を探求したファウスト博士だが、金に困り悪魔と噂される高利貸ミュラーのもとを訪れる。質草の「賢者の指輪」を突っ返されたファウストは、毒薬を煽ろうとするが、ミュラーが代わりに飲んでしまう。毒薬を飲んでも死なないミュラーは本当に悪魔なのか・・・?

「生きている意味が見出せない」と嘆くファウストに、それを教えようと囁きながらミュラーは洗濯場にファウストを誘う。そこで純真無垢なマルガレーテと出会い、一目で心奪われるファウストであったが、ミュラーの策略によって彼女の兄を誤って殺してしまう。それでも彼女を手に入れたいファウストは、自らの魂をミュラーに差し出す契約を結ぶ。

マルガレーテの家に忍び込み、首尾よく彼女をモノにするが、一夜明ければそこは廃墟と化していた。ミュラーに急かされ、わけのわからぬまま荒野を進むが、やがてミュラーを振り切って行ってしまう。


画面は正方形に切り取られたフレームで、ときどき映像が歪んだり、画面の隅を不思議な生き物が横切ったりして、幻想的な雰囲気を醸し出しています。ブリューゲルの絵画を見ているような気分。

映画は、有名なマルガレーテの嬰児殺しのエピソードの前で終わっていました。

ファウストの弟子のワーグナーがマルガレーテに近づき、自分が造ったホムンクルス(人造人間)を見せるエピソードがありましたが、そこで暗示させているのかしら。

このワーグナー、ファウストに恋しているのかというくらい接近してるし、他の人もそう。どこかホモくさいところも『太陽』に通ずるというか・・・。

権力者を扱った4部作の最終作として位置づけられた作品だそうですが、ヒトラーを描いた『モレク神』も見てみたいな。

ミュラー役のアントン・アダシンスキーが怪演。強烈な印象を残します。マルガレーテが、まるで中世絵画から出てきたような容貌でしたね。

公式ホームページ http://www.cetera.co.jp/faust/

DVD『エディット・ピアフ――愛の賛歌――』感想

 1年半ぶりに美容院に行って、髪を10cm近く切って、今肩くらいの長さです。髪を洗うのが楽になりましたね~。

 職場の反応は、「・・・もしかして髪切った?」くらいでしたけど、まあ女性の多い職場でもそんなものですよね。

 前の職場にいた男性の上司は、鈍感な人でしたが、私がロングからおかっぱにしたのにもかかわらず、全然気がつかず、なおかつ「何か変わったところ、ありません?」と水を向けても「え、何が?」といった感じでした。

いまどき、「髪型変えたね」と声を掛けてもセクハラと言われるケースもありますから、用心して言わなかった、ということも有り得ますが、そんなふうでもなく・・・。

しかしそこまで周囲に関心がないというのも、ある意味驚きですね。

さて、ピアフつながりで見てみました。

「1915年、フランス・パリの貧しい家庭に生まれたエディット・ジョヴァンナ・ガション。母は路上で歌を歌い、日銭を稼ぐ毎日だった。その後、祖母が経営する娼館に預けられた彼女は、娼婦ティティーヌたちに可愛がられ束の間の安らぎを得る。やがて兵役から戻った父に引き取られると、路上で大道芸をする父の手伝いをする中で、自らも人前で歌うことを覚えるのだった。そして1935年、路上で歌を歌い日銭を稼いでいた彼女は、パリ市内の名門クラブのオーナー、ルイ・ルプレにスカウトされ大きな転機を迎えた。ルプレによってピアフと名付けられた彼女は、歌手としてデビューするや、瞬く間にスターダムへと駆け上っていくのだったが…。」(allcinema Movie&DVD Databaseより)


波乱万丈の人生ですね~。後半の波乱は、自分が自ら招いたと言えなくもないけど。 ピアフを演じたのはマリオン・コティヤールという女優さんで、記録映像に残るピアフを髣髴とさせる風貌で熱演していました。歌はピアフ本人の歌声を使っているとか。過去と現在を行ったりきたりする構成で、時系列が分かりにくいところもあったけど、面白かった。(昔ファンだった)パスカル・グレゴリーがピアフのマネージャー役で出ているのも、ちょっとしたサプライズでした。


エディット・ピアフのシャンソンをまともに聴いたことがなかったので、これを機会に聴けてよかった。

ノルベルト・グランツベルクの「ノ」の字も出てきませんでしたけどね。彼が作曲した、心臓の鼓動のような旋律が印象的な『パダム・パダム』、初めて聴きましたが、いい曲だわ・・・。

アストリート・フライアイゼン著『ピアフのためにシャンソンを』感想

『ピアフのためにシャンソンを
作曲家グランツベルクの生涯』
アストリート・フライアイゼン 著 藤川芳朗 訳
中央公論新社 定価 2,940円

名曲「私の回転木馬」「パダム…パダム」を作曲したユダヤ人作曲家ノルベルト・グランツベルクの伝記。

ガリツィアで生まれたグランツベルクは、両親の移住に伴いドイツ・ヴュルツブルクで少年時代を過ごす。幼い頃から音楽の才能を見せていた彼は、20歳そこそこで、ベルリンで指揮者として、また映画音楽の作曲家としてデビューする。それもつかの間、ナチスによって亡命を余儀なくされる。

亡命先のパリで、酒場のピアノ弾きの職を得るが、このとき、まだ歌手志望の少女にすぎなかったエディット・ピアフと出会っている。

そうこうしているうちにナチスはついにパリを占領、グランツベルクはマルセイユへと逃れる。そこで、今や売れっ子歌手となっていたピアフに拾われ、彼女の知人宅に匿われ生きて終戦を迎える。

二人は恋仲だったこともあるが、ピアフの破滅的な性格から長続きはしなかった。だが、ピアフに「私の回転木馬」など数々の名曲を提供するなど、関係はピアフの死まで続いた。
やがて世間ではロックが流行り出し、グランツベルクは音楽の世界から遠ざかる。

この忘れられた作曲家が1997年に「再発見」されたのは、同郷のヴュルツブルクの女性ジャーナリストのお手柄だった。この発見をきっかけに書かれたのが本書である。

本書で興味深いのは、やはりピアフとのエピソード、シャンソンの名曲誕生秘話などですが、1920年代のベルリンの華やかなショービスの世界についての描写なども面白い。

また、「再発見」された後、グランツブルクはヴュルツブルクで演奏会を行うなど、故郷に錦を飾ったり、再び音楽活動を始めたりして、満ち足りた晩年を過ごします。

歴史に翻弄された芸術家の一代記であると同時に、その時代を描いた一種の歴史書とも言えるでしょう。ナチスに祖国ドイツを追われたユダヤ人芸術家――こんな人は星の数ほどいたんだろうな。

彼が、自分のルーツに立ち返って作曲したオーケストラ版「イディッシュ組曲」、Youtubeで聴きましたが、エキゾチックでノスタルジックで壮大で色彩豊かなすごい曲でした。
シャガールの絵画が想起されるというか、ファンタジー映画のサントラになりそうっていうか(・・・褒めているつもりです。)

三角錐の花

近所で三角錐の花を見つけました。

Kasiwabaajisai_002

Kasiwabaajisai_001

面白い形ですね~。「柏葉紫陽花(かしわばあじさい)」という花だそうです。葉っぱが柏餅の葉っぱのようだからその名がついたようです。

オリジンズ、日本撤退!・・・で買いだめしました。

永年愛用してきた化粧品ブランド、オリジンズが日本撤退することになりました。

1月末に、今年の半ば頃に日本から撤退するという案内があったのですが、とうとうこの日が来てしまいましたね・・・。

4月くらいからチマチマ買いだめしてきましたが、新宿店が6月4日にクローズすると聞いて、最後の悪あがき(?)に走りましたよ。

Orisins

こう見ると壮観(?)ですね~。
左から
アンドリュー・ワイルシリーズのクレンザー、化粧水2本、美容液1本、日焼け止め1本。
角質を取る洗顔料のモダン・フリクション。
プラントスクリプションシリーズの化粧水2本、美容液1本。
最後に私の「神クリーム」ア パーフェクト ワールドシリーズのボディークリーム。

これがあるうちに次を見つけなきゃ・・・。

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