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オルガ・トカルチュク『昼の家、夜の家』感想


「歴史上、ポーランドは国境線が不安定に揺れ動いてきた国である。現在はロシア、ドイツ、チェコなどと接しているが、国境近くの町や村は、過去のある時点ではまったく別の名前で呼ばれていたのだ。
 本作の舞台は、ポーランドとチェコの国境地帯にある小さな町ノヴァ・ルダ。かつてはドイツ領でノイロードと呼ばれたこの土地に夫と移り住んだ語り手は、隣人たちとの交際を通じてその地方の来歴に触れる。しばしば形而上的な空想にふけりながら、日々の覚書、回想、夢、会話、占い、聖人伝、宇宙天体論、料理のレシピなどの数々が綴られていく。
「フラムリナ、あるいは野生のエノキタケ」ご近所の一人は、キノコの季節になるときまって家を訪ねてくる。アウシュヴィッツ(オシフェンチム)で買った食用油の話と、エノキタケのコロッケの作り方が披露される。
「ペーター・ディーター」ドイツ人ペーターは、生まれ育った家を見るため、妻と国境を越える。登山の途中、心臓発作を起こして息絶えた彼の片足はチェコ側に、もう片方の足はポーランド側にあった。
 ……これら111もの挿話によって、ある土地をめぐる一つの幻想的な物語世界が立ち上がる。現代ポーランド文学の旗手による傑作長編。」(白水社ホームページより)

ポーランドとチェコとの国境地帯にある小さな町ノヴァ・ルダ。そこに移り住んだ「私」とマルタや何某氏などの隣人たちの話、「私」が大いに興味を持っている「夢」についての話、キノコ(料理のレシピ込み)の話、髭の生えた聖女クマーニスとその伝記を書いたパスハリス修道士の話、以前この土地に暮らし、夏になると様子を見に来るドイツ人たちの話……これらのエピソードが小出しに、交互に挟み込まれ、“長編”とは言いつつ、エッセイ集のような趣です。聖人伝のエピソードがあるせいでしょうか、説話集って感じもします。

聖女クマーニス、って聞いたことがなかったのですが、作者の創作ではなく、かつてはグリム童話にも編纂されていた伝説のようです。画像をネットで検索したら、顔が主キリストで身体はドレスを着た胸のある女性で描かれた絵画や聖人像がいくつもヒットしました。(女装したおっさん、みたいな感じで戸惑いますがね。)
彼女の伝記を書いたとされるパスハリス修道士は、女性のように美しい青年だが、自分の体に違和感を持ち女性のような乳房がほしいと願っているという設定。

女性になりたい男性と、男性の顔をした女性。この対比がエピソードをより興味深いものにしているような気がしますね。

話変わって、ノヴァ・ルダがどこあるか調べていたら、興味深いことがわかりました。
明治時代の日本で活動したドイツの作曲家で、「君が代」に伴奏、和声を付けたり、日本の洋楽教育機関のほとんどすべてにかかわったりした、フランツ・エッケルトさんの出身地だそうです。

当時はこの地はプロイセン領だったから、ドイツ人もいっぱい住んでいたんですね。

ちなみにこの地は、ズデーテン地方といって、ナチス・ドイツがチェコに割譲を迫った地域でもあると言えば、「ああなるほど」と場所が思い浮かぶ人もいるんじゃないでしょうか。

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