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DVD『永遠と一日』感想

テオ・アンゲロプーロス監督の代表作!何度見てもいいですね~。音楽も最高に良い。
題名の『永遠と一日』という言葉は、脚本の構想中にふと思いついたもの、と監督は述べていますが、実はシェークスピア『お気に召すまま』の一節やポール・マッカートニーの歌にもこの言葉があるそうです。

詩人アレクサンドロスは、重病を患い、入院を明日に控えていた。
彼は家政婦のウラニアと最期の別れを告げ、娘のカテリーナ夫婦の家に向かう。
その途中、路上で車の窓ふきをして小銭を稼いでいる少年たちが警察に追われているところに出くわし、アレクサンドロスは自分の車の窓を拭いていた少年を匿う。

アレクサンドロスはカテリーナに、3年前にこの世を去った妻アンナの手紙を渡す。その一つを娘が読み上げるのを聞きながら、彼は娘が生まれて親戚が集った夏の日を思い出していた。そして仕事を口実に自分に目を向けてくれない夫を、妻がどれほど愛し、不安に思っていたかを思い知る。
アレクサンドロスは愛犬をカテリーナに預けようとするが、娘婿の動物嫌いを理由に断られ、さらには思い出のつまった海辺の家を売ったと聞かされショックを受ける。

アレクサンドロスは娘宅からの帰り、さっき助けた少年が誘拐されるのを偶然目撃する。
少年を乗せたトラックについていくと、ひと気のない郊外の廃墟に入っていった。どうやら金持ち夫婦に「養子」として売られるところだったらしい。アレクサンドロスは手持ちの現金で、少年を人買いから買い戻す。

少年は、住んでいた村を襲撃され、命からがらアルバニアから越境してきたギリシア系アルバニア人だった。詩人は少年を家族の許に返そうとアルバニアとの国境まで送り届けるが、不気味な雰囲気の検問所を前にして二人は逃げ帰る。

街に戻ってきたアレクサンドロスは、“言葉を買った”詩人ソロモスについて少年に語る。19世紀の詩人ソロモスは、アレクサンドロスが長年研究してきた詩人でもあった。

(ここで舞台は19世紀へ。詩人ソロモス登場。)
イタリア育ちのギリシア人ソロモスは、オスマントルコからの独立を求めてギリシャが蜂起したのをきっかけに故郷に戻る。ギリシア語ができなかったソロモスは、島の人から言葉を聞き、知らない言葉には金を払った。それが噂となりいろんな人が彼に言葉を売ろうとした。
「そして彼は<自由賛歌>を書いた。その他の詩もたくさん。」

アレクサンドロスは愛犬をウラニアに託すことにするが、訪れた彼女の家では息子の婚礼の真っ最中であった。

港では少年が、詩人ソロモスに倣い「言葉を買う遊び」をする。「クセニティス」――どこにいてもよそ者。少年の祖母が言っていた言葉だという。アレクサンドロスはあの夏の日に親戚一同で島に旅した思い出に耽るが、偶然、病院の担当医師と出会い、現実に連れ戻される。

海辺では溺死体が発見される。少年と命賭けの旅をともにしたセリムの遺体であった。アレクサンドロスは遺体安置所で一芝居を打ち、少年はセリムの遺品を手に入れる。セリムの弔いが廃屋で行われる。セリムの弔いのため亡命少年達が数多く廃屋に集まる。
アレクサンドロスは、亡くなった実母の病院を訪問したことを思い出す。母の枕元で「なぜ私は一生、よそ者なのか。」「なぜお互いの愛し方がわからないのか」と泣き崩れる。

少年は他の仲間たちとフェリーで旅立つという。アレクサンドロスはたまらず「一緒にいてくれ」と懇願し、少年を誘いバスに乗る。コミュニストの青年、喧嘩をするカップル、楽器を持った3人組、そして詩人ソロモスが乗っては降りていった。アレクサンドロスは下車するソロモスに「教えてくれ!明日の、時の長さは?」と尋ねる。

真夜中、夜遅く、フェリーのトラックに積載されるコンテナで少年は仲間と旅立つ。少年は去り際に「アルガディニ・・・とても遅く」と呟く。

翌朝、アレクサンドロスは海辺の家に赴く。
詩人の脳裏に、あの夏の日が再現される。
詩人が妻に「明日の時の長さは?」と聞くと、アンナは「永遠と一日」と答える。
「病院には行かない。言葉で君をここに連れ戻す。」
詩人は海に向かって、少年から教わった言葉を叫ぶ・・・。

コルフーラ ・・・私の花 ・・・
  クセニティス ・・・よそ者 ・・・
    アルガディニ ・・・とても遅く ・・・

 

詩人ソロモスが書いた「自由賛歌」が、実は現在のギリシア国歌なのだそうです。
全部で158節あり全部歌うと2時間近くかかるので、公式の場では2番までしか歌わないことがほとんどらしいですが。

黄色いレインコートの男たち、この作品でも登場します。何かのメタファーかと思いきや、監督すら「あそこにあの男たちが出てくるのは必然なんだ。なぜかと聞かれても、詩を説明するようなもので・・・。それを考えるのは批評家の仕事だ」なんて答えています。

でも、わかるような気がする。あそこに突然出てきても全然違和感感じなかったし。アンゲロプーロス監督の作品は、どこか幻想的というか詩的というか。
バスのシーンも、『銀河鉄道の夜』を思い出させますね。

「今」が曇天の薄暗い冬の日、画面も灰色であるのに対し、思い出の「夏の日」はどこまでも明るく輝いている。現在と過去の対比が見事に描かれていると思います。

この作品については書き足りないのですが、収拾がつかなくなるから今回はこれまで。

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