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リュドミラ・ウリツカヤ 『クコツキイの症例 ある医師の家族の物語』感想

今や現代ロシア文学を代表する作家となった、リュミドラ・ウリツカヤ。ロシア・ブッカー賞受賞の話題の長編。

古くからの医師の家系に生まれ産婦人科医となったパーヴェル・クコツキイが結婚したのは、疎開先の病院で手術をした患者のエレーナだった。エレーナを娘のターニャと共に家族としてむかえたパーヴェルは、堕胎が違法だったソ連で女性を救う中絶手術に賛成で、いつ逮捕されるか分からなかった。
モグリの堕胎手術で命を落とした女を巡り、パーヴェルは子どもの産めない体のエレーナに向かって「女じゃないくせに」と言ってしまい、そのときから夫婦の関係は少しずつゆがんでいく。

美しく成長したターニャは生物学を志すが、何の疑問も持たずにラットを切り刻む――命を奪う自分に気づき、大学も仕事も辞めて家を出ていく…。

社会主義国家ソ連のアングラ社会に足を踏み入れたターニャは、自堕落な生活を送りはじめる。ある日、長らく疎遠だった幼馴染のゴールドベルグ兄弟のヴィターリイが暴漢に襲われたことを知り、看病に駆けつける。弟のゲンナージイとも関係を持ち、妊娠する。
保養に出かけたオデッサでサックス吹きのセルゲイと出会い、彼についていくと誓う。
ターニャの産んだ娘はエヴゲーニヤと名付けられた。モスクワに里帰りしたターニャは、実家の改装を実行し、セルゲイのいるレニングラードに旅立つ。

孤独なエレーナは徐々に精神に異常をきたしていき、酒浸りになったパーヴェルも、もはや家族とのつながりを取り戻すことができそうにない。
エレーナや、長年家政婦をやってくれているワシリーサが老いて弱っていくのを見かねたターニャは、世話をするために実家に戻ることにする。

しかし第2子を身ごもったターニャは、急変し搬送された病院で感染症にかかって命を落とす。

エヴゲーニヤの出産とエレーナの死をもって物語は終わりますが、帝政時代からソ連時代、そして現代のロシアへと続く、女3代のドラマ。
TVドラマ化もしたことからも、人気のほどがうかがえます。

第2章が、エレーナの夢(?)を描いていてちょっとSFチック。砂漠のようなところを目的もわからないまま歩き続ける集団。どうやらそこは死後の世界で、生まれ変わるときが来るまでそうしているらしい。
「新しい人」=エレーナ、「頭をそった男」=パーヴェル、など何人かは対応する人物がわかった。

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