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DVD『誰でもない女』感想

ナチス・ドイツの「レーベンスボルン(生命の泉)」計画。その負の遺産を引き継いだDDRの恐ろしい陰謀。

1989年、ベルリンの壁が崩壊し、冷戦が終結した。
ノルウェー海軍勤務の夫と娘と孫と暮らすカトリネのもとに、弁護士のスヴェンが訪ねてくる。
実はカトリネは、戦時中ドイツ兵の父とノルウェイ人の母のもとに生まれたが、「生命の泉」計画に則って生まれてすぐにドイツに送られ、母と再会できたのは成人してから、という過去があった。スヴェンはこのことで政府を訴えるために証言台に立ってくれと言いに来たのだ。
カトリネは拒絶し、ドイツへ旅立つ。

ドイツでは児童園や関係者を訪ね歩き、まるで自らの痕跡を消そうとするかのような不審な行動をとる。

ドイツ兵の子を産んだとして戦後差別され続けてきた、カトリネの母オーゼは証言することを決意し、ついにはカトリネも同意する。

スヴェンが驚くべき報告を持ってくる。1970年、母親をさがすために亡命しバルト海で救出された女性がカタリネと同名で、その母親の名もオーゼというのだ。
今まで周囲には「政府から許可を受けて帰国した」と言ってきたが、その女性こそ自分で、シュタージにバレると危険だから誰にも言えなかったとカトリネは告白する。

証言台に立ったカトリネだが、亡命時に受けた尋問について正確に答えられなかったため、皆の心に疑惑を残す。

スヴェンがバルト海で救出された女性の亡命時のインタビュー番組の映像を見つけ、カトリネの家族のところにビデオテープを持ってくる。
そこに映っていたのは、別人だった。

カトリネの正体は、実は東独の秘密警察(シュタージ)のスパイだったのだ。

シュタージにキューバへ高跳びするよう指示されたカトリネだったが、仲間の目を欺いて家に戻り、オーゼに事実を伝える。

彼女の本名はヴェラ。実の娘になりすましてオーゼのもとで暮らしてきたが、ある日カトリネが訪ねてくる。そのときヴェラに言われてオーゼは旅行に行っていた。再会を心待ちにするカトリネを見て、ヴェラは彼女をシュタージの魔の手から逃がそうとするが、その矢先シュタージが逮捕にやってくる。カトリネは一旦は逃げ出すが、抵抗もむなしく射殺され、遺体は森の中で焼かれた。
「私のせいで彼女は死んだ」

そして彼女は自首するために、車を走らせ――。

実は私、「レーベンスボルン(生命の泉)」は、一か所に女性を集めてナチス・ドイツのエリートたちの子供を産ませる施設だと思っていました。この映画を見てこの記事を書くために調べたら、今の日本で言うと「母子生活支援施設」みたいなものだったんですね。「サロン・キティ」とごっちゃにしてたようだわ。

1930年代、戦争などの影響でドイツの出生率は落ち込んだが、それを回復させるべく、SS長官ヒムラーの発案で未婚の母子を収容する施設「レーベンスボルン」を開設。同様の施設がドイツ占領下の各国につくられた。

カタリネはライプツィヒ辺りにいたみたいですから、Kinderheim „Sonnenwiese“にいたようですね。

とくにノルウェーにおいては、金髪碧眼を持つ優秀なドイツ人を増やす目的で、ノルウェー人女性との間に子供を設けるよう奨励しました。

カタリネの母オーゼは、トロンハイムにあるレーベンスボルン施設で出産し、生まれた子を養子に出す書類にサインしました。

しかし、戦後になって当時のノルウェー政府は、ドイツ兵の子を産んだ女性たちを逮捕し、子どもたちを精神病院送りにしました。彼らはまともな教育を受ける機会さえ与えられず、差別を受けて人生を歩んできました。

それは人権侵害に当たるとして政府に謝罪と賠償を求めようと、「レーベンスボルンの子ども」たちが立ち上がったことが、この映画の背景にあります。

それとは別に、冷戦当時DDRは西側の最前線・ノルウェーの一般家庭にスパイを送り込んできたそうです。
なかには「レーベンスボルン」で生まれた子供たちを母親のもとに返す、という名目で行われたこともあったってことですかね。
誰だって、「生き別れの子どもです」って現れた人間を疑ったりはしないでしょう。今みたいにDNA鑑定なんて手段があるわけじゃなし。

ヴェラもそうやって送り込まれたスパイの一人でした。
ヴェラ自身戦災孤児で施設育ち、愛情に飢えた彼女はシュタージの男に誑かされて裏の仕事に手を染めて・・・。
しかしなんでわざわざ証言台に立つかな~。過去のことをほじくり返されれば、自分がスパイだってことが露見しやすくなるのに。

ヴェラは証言の内容をコントロールすることで、この状況を切り抜けられると思ってたようですが、「本物」のカトリネの情報をスヴェンが入手していたことで、ヴェラの目論見は狂ってしまった。
それとも、遅かれ早かれ全てが明らかになるって思ったから、早く決着をつけたかったのか。

いずれにせよ、第二次世界大戦が終わって70年、冷戦が終結して25年。当時を知る人たちがどんどん減っていっています。事件(といっていいのか)の早い解明が急がれますね。

ユリアーネ・ケーラーがすごいおばあちゃんになってしまって、ちょっとショックでした。

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