ハラルト・ギルバース著『ゲルマニア』
今まで、ナチス・ドイツ時代のことを取り上げた作品は、おおむねドイツの戦争責任や、ホロコーストを扱っていましたが、ここ最近、違う角度から取り上げている作品が増えている印象を受けます。それも、エンターテインメントとして。
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「1944年ベルリン。ユダヤ人の元敏腕刑事オッペンハイマーは突然ナチス親衛隊に連行され、女性の猟奇殺人事件の捜査を命じられる。断れば即ち死、だがもし事件を解決したとしても命の保証はない。これは賭けだ。彼は決意を胸に、捜査へ乗り出した…。連日の空襲、ナチの恐怖政治。すべてが異常なこの街で、オッペンハイマーは生き延びる道を見つけられるのか?ドイツ推理作家協会賞新人賞受賞作。」
(Amazon.jpより)
…この話、ナチス・ドイツ時代でやる必要があったか?というのが正直な感想。
レーベンスボルン「生命の泉」やサロン・キティ・・・この時代きってのスキャンダラスなネタではあるが、本筋とはあまり関係なし。取って付けた感がありましたね。
連日の空襲、ノルマンディーに連合軍が上陸する、という戦況にあって、ナチス高官の命令とはいえ、猟奇殺人事件を捜査させる、というのがなんとも不合理というか。ゲッペルス自ら「この事件を解決せよ。」とユダヤ人に命を下す、というのがなんとも・・・。
そこまでして捜査させる事件が、どれほどのナチスの秘密や陰謀に絡んでいるのかと思いきや、その辺の説明は一切なし。
読者にしてみれば、消化不良というか、設定を活かしきれていない、という印象でしたね。
ただ、ユダヤ人警部とSS将校の関係というか「バディ」要素が、一部の婦女子の間で注目されているようですよ(笑)。
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