ドイツの流行語大賞 Wort des Jahres 2018
さーて、毎年恒例、ドイツ流行語大賞。(例によってうまく訳せていませんが・・・。)
Gesellschaft fur deutsche Sprache(GfdS:ドイツ語協会)ではその年に流行った言葉、「流行語大賞 (Wort des Jahres)」をリサーチし、その結果を“Der Sprachdienst”という雑誌に公表しています。
2017‟Jamaika-Aus”に続き、‟ Heißzeit (読み:ハイスツァイト)高温時代”が2018年の流行語大賞に選ばれました。
順位は以下の通り。
参照したGfdSのWort des Jahresのページ:
https://gfds.de/wort-des-jahres-2018/
1.Heißzeit (読み:ハイスツァイト)
今年の夏も異常気象と言えるほど暑い夏でした。このHeißzeit、直訳すれば「暑い時期」ですが、Eißzeit(アイスツァイト:氷河時代)に対応するような、気候の変動と捉えられています。日本語だとまだ適切な訳語がないみたいですが、「高温時代」「熱波時代」といったところでしょうか。
2.Funklochrepublik(読み:フンクロッホレプブリーク)
Funkは「通信網」、lochは「穴」、republikは「共和国」、というわけで、モバイル通信網が貧弱なドイツを揶揄した言葉ですね。連邦議会選挙での争点にもなったし、新しい5Gモバイル規格が必要かどうかも議論の対象になりました。
3.Ankerzentren (読み:アンケルツェントレン)
移民問題に絡んだ用語で、Ankerと言っても船のアンカーではなくて、「»Ankunft, Entscheidung, Rückführung«, 到着→判定→強制送還」という手続きの頭文字をとったもの。そのために一時的に収容されるZentren(センター、施設)ということです。
4.Wir sind mehr (読み:ヴィーア ジント メーア)
ドイツ東部の街ケムニッツで起きたネオナチの暴動への抗議として、9月に反ネオナチ、反人種差別を掲げた無料のコンサートが開かれ、この小さな街に6万5千人もの人が訪れました。
5.strafbelobigt (読み:シュトラーフベロービヒト)
Straf は「罰」、belobigtは「表彰される」・・・相反するような単語がくっついていますが・・・。
ネオナチやテロ組織などの活動を監視するドイツの連邦憲法擁護庁長官でありながら、右翼寄りの姿勢や発言が問題視され、9月18日に更迭されたハンス=ゲオルク・マーセン氏。しかしながら次のポストが格上の内務省政務次官だったことから、「昇格人事」と世論が反発し、最終的には特別顧問という形で落ち着いたようです。
6.Pflegeroboter (読み:プフレーガーロボーター)
Pflegeは「介護」、Roboterは「ロボット」。ドイツでも介護労働者が不足しているということで介護ロボットの導入が叫ばれているようです。
それになんと、あの「ペッパー」君、ドイツで介護ロボットとして利用できるかどうかをハレの大学病院で検証中とのことです。
7.Diesel-Fahrverbot (読み:ディーゼル-ファーフェアボート)
「ディーゼル運転禁止」
昨年「ディーゼルサミット」を開き、クリーンなディーゼルエンジンの開発のために数百万ユーロを投入することに同意したのにもかかわらず、ドイツ国内のいくつかの都市では、EU内での二酸化窒素の排出規制をクリアするために、ディーゼル運転規制を採択しました。
8.Handelskrieg (読み:ハンデルスクリーク)
Handelsは「貿易」、kriegは「戦争」。貿易戦争。アメリカのトランプ大統領が、中国に対し鉄鋼とアルミ製品に追加関税を課したことを指します。
9.Brexit-Chaos (読み:ブレグジット-カオス)
Brexit(イギリスのEU離脱)をめぐりChaos(大混乱)が引き起こされています。
Brexit自体、Britain と Exitからなる造語ですが、
Brexiteers(brexit賛成派)やBregretter(Brexit反対派)なる派生語が生まれてきています。
10.die Mutter aller Probleme (読み:ディ ムッター アラー プロブレーメ)
ケムニッツでイラク人とシリア人がドイツ人を殺害しました。この事件を受けて反移民デモが発生したのですが、CSU所属の内務大臣のホルスト・ゼーホーファー氏が、「Migration移住はすべての問題の母」と発言しました。
日本語だと「母」より「根源」のほうがしっくりくるか。
移民問題がらみで、流行語大賞に4つもランクイン。それだけこの問題が大きな影響を及ぼしているってことなんですね。
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