最近のトラックバック

« 2019年10月 | トップページ | 2020年1月 »

2019年11月

映画「永遠のジャンゴ」感想


 

1943年、ドイツ軍占領下のフランス。ミュージシャンとして絶大な人気を誇るジャンゴは、パリの有名なミュージック・ホールでナチスに抑圧された市民たちを熱狂させていた。その人気に目をつけたナチスは、ジャンゴのドイツでの公演を計画していた。

しかしユダヤ人狩りやロマへの迫害など、街に不穏な空気が流れ始め、身の危険を感じたジャンゴは、愛人ルイーズの手引きで、スイスへの逃亡を決意。年老いた母親や身重の妻とともにレマン湖の畔の町トノン=レ=バンに移り住む。

とはいえスイスへの亡命を手助けしてくれるはずのレジスタンス組織からのGOサインが出ずに、トノンの街で足踏み状態。ジャンゴは、仲間と街のレストランで演奏する傍ら、教会のパイプオルガンで作曲する日々を送っていた。

しかしレストランで騒ぎを起こし、地元に駐留するナチス幹部に見つかる。目をつぶる代わりにパーティで演奏することを言い渡される。しかもそれに乗じてある負傷したイギリス兵を逃がすから目を惹きつけておいてほしいと、レジスタンスから頼まれる。2か月も待たされた挙句のその言草に絶望しながらも、「次は自分たち」と約束させる。

パーティはしめやかに進んだが、ジャンゴらの音楽に陶酔して、次第に乱痴気騒ぎの様相に。怒ったナチス幹部は、ジャンゴらを叩きだし、ジプシーたちのキャンプを焼き討ちにする。

ジャンゴは、母と身重の妻と別れ、山を越える。

場面変わって、1945年。教会でジャンゴが作曲したレクイエムが演奏される___。


ロマ音楽とスウィング・ジャズを融合させたジプシー・スウィングの創始者として知られる、ジャンゴ・ラインハルトの第二次世界大戦中の数年間を描いた作品。

私この時代の音楽好きでね~、演奏シーンは楽しかった。

でも映画としては、面白いかと言われたら微妙な感じ。

まず愛人ルイーズが何者かよくわからなくてスッキリしない。

「モンパルナスの夜の女王」と紹介されたかと思えば、ナチス幹部とお近づきになっているし、レジスタンスともつながっているようだし・・・。昔ジャンゴたちをひどい目にあわせたらしいし・・・。

まだパリにいるときに、ジャンゴは警察に呼び出され、写真を撮られ、顔の長さを計測されます。昔の火事がもとで手に残った障害を、「近親交配による先天性のものだろう」と決めつけるナチスの医者。うわぁ、っていうか、ほんとにこんな滑稽なこと言っていたんですね。

 

最後に流れる「レクイエム」、楽譜の大半が失われていて、残った一部分をもとに再現したものだそうですが、印象に残る楽曲でした。

ジャンゴを題材に映画をつくるのに、なぜ華々しい、その演奏を前面に出した映画にしなくて、この悲惨な時期を取り上げたのだろうと思ったのですが、

そうか、このジャンゴのレクイエムを世に出すため、と考えたら、なんとなく腑に落ちました。

 

 

 

映画『希望の灯り』感想

『ありがとう、トニ・エルドマン』でキャリアウーマンだった彼女が、本作ではしがないパート主婦で登場。

 


 

 

旧東独地域のライプツィヒ郊外にある巨大スーパーマーケットで、在庫管理係として採用された無口な青年クリスティアン。

飲料担当のブルーノに、仕事のことやフォークリフトの操縦を教わりながら少しづつ職場に慣れていく。

スーパーのある場所は、統一前は長距離トラックの配送センターで、ブルーノやほかのスーパーの仲間たちもトラックの運転手だった。
スーパーになった後も彼らはそこに残り、今ではトラックではなくてフォークリフトを乗り回す毎日だった。

ある日クリスティアンは休憩所で、従業員仲間の年上の女性マリオンと言葉を交わす。一目で恋に堕ちるが、彼女には夫がいた。落ち込み、昔の悪い仲間たちと酒をあおって、翌日遅刻してブルーノに注意される。

クリスマスの夜、スーパーでは、倉庫の裏で従業員たちが集まってささやかなパーティをしていた。そこに顔を出すマリオン。二人は寄り添いながら、クリスティアンが以前は建設現場で働いていたことなどを話す。

年開けて、なんだかマリオンがよそよそしい。「俺のせい・・・?」「なんでも自分に関係あると思わないで!」
しばらくして、マリオンの姿がスーパーから消えた。病気で休んでいるらしい。ブルーノから、彼女が夫から大切にされていないこと、手をあげられることもあると聞き、こっそり見舞に行く。
しばらくしてマリオンが復帰する。彼女は、こっそり来た人物が誰かわかっていた。

仕事帰り、クリスティアンはブルーノに自宅に飲みに誘われる。高速沿いの家に一人で住んでいた。通り過ぎるトラックを目の当たりにしながら、「トラックが懐かしい・・・」とブルーノは泣いた。

後日クリスティアンは、ブルーノが首を吊って命を絶ったことを知らされる。

 

折りしも今年は壁崩壊(Der Maurfall)を迎えて30周年ですが、西部と東部では今でも経済格差があり、DDR時代を懐かしむ人は少なくないようです。(東(Ost)と郷愁(Nostalgy)をかけて、「オスタルジーOstalgy」という言い方があるくらいです。)

ブルーノもこのオスタルジーに囚われ、将来を悲観して自殺したのでしょう。

クリスティアンは、普段長袖の服で隠していますが、手首の先までタトゥーをいれています。それを見てブルーノは、クリスティアンが刑務所にいたことを見抜くのですが、私も以前見た『イースタン・プロミス』という映画で、ロシアのどこの刑務所にいたのかがタトゥーの柄でわかる、というエピソードがあったので、最初からそれに気づきましたね(笑)。

ならず者だった彼が、父親のような年の同僚たちに受け入れられ、仕事も覚えてフォークリフトの試験にも合格し、スーパーのバックヤードに居場所を見つけた。好意を寄せる女性もいて、笑い返してくれる。このささやかな「幸せ」を、観客はクリスティアンとともにかみしめる。

ブルーノの自死という悲しい出来事はあったけれど、それでも日々は過ぎていく。スーパーにともる灯りは、生きるための「希望の灯り」なのだ。

 

映画『ありがとう、トニ・エルドマン』感想

 


 



変わり者のヴィンフリートの娘・イネスはコンサルタント会社で働くキャリアウーマン。たまに休暇で家に戻っても、イネスは仕事の電話ばかりで、ろくに話すこともできない。そんな娘を心配したヴィンフリートは、愛犬の死をきっかけに、彼女が働くブカレストへ。イネスは父の突然の訪問に驚くも、何とか数日間を一緒に過ごすが、仕事の邪魔になるのでドイツに帰らせる。

ホッとしたのも束の間、彼女の前に、下手な変装をして<トニ・エルドマン>と名乗る父が現れる。レストラン、職場、パーティー会場──行く先々で現れ、胡散臭い姿とジョークで周囲を振り回す父に、イネスのイライラもつのるばかり・・・。

不器用な親子。

父親の気持ちも娘の気持ちもわかる・・・。

大口のプロジェクトを抱え、しかも交渉が難航しているイネスは、張りつめた糸が今にも切れる寸前という精神状態。そんなイネスに、「幸せの意味は?」「ユーモアを忘れるな」と説くが、それがかえって彼女を苛立たせ、追いつめる。

自立した大人の女性なのに、父の前では「子どもの自分」が反応してしまう。

イネスがなんだかんだ言って、「トニ・エルドマン」を連れまわしたのも、自分の見ていないところでなんかやらかされちゃ困る、というのもあったけれど、そばで見守っていてほしい、というのもあったんじゃないかな。

そのバランスが崩れたのが、彼女の誕生日に「チームの結束を強めるために」と開いたホームパーティ。
なんと彼女は、同僚たちの前で服を脱ぎ捨て、「裸でパーティしましょう」と提案する。
戸惑う同僚たち。彼女自身も涙目。

そこへ毛むくじゃらの着ぐるみを着た者が現れる。同僚によると、「ブルガリアの魔除けになる生き物」だそう。それは、すぐに家を出ていった。一言も発しないが、うすうす父だと察していたイネスは、同僚を家に残して追いかけ、抱きしめる。


とくに大きな事件があるわけでもない3時間近い映画でしたが、あれ、そんな長い映画だった?って感じ。それを気づかせないのは、役者の演技力のおかげでしょうね。

裸で置き去りにされた同僚たちはどうなったの?

あのあと転職したみたいだけど、そのせいで辞めたの?

プロジェクトはどうなったの?

と、そんな疑問も残りますが、いい作品でした。

 

「ブルガリアの魔除け」は、「クケリ」という春の訪れを祝うお祭りに登場するそうで、鳥や獣を模したコスチュームは地域によって違うそうです。

家々を回って厄払いをするというから、日本だと、なまはげに似ていますね。

Photo_20191104090601

 

 

« 2019年10月 | トップページ | 2020年1月 »

2020年5月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ