映画『ネヴァーランド』感想
誰もが知っている『ピーター・パン』の誕生秘話。今度ミュージカル『ファインディング ネヴァーランド』を見に行くので、予習として元になった映画を見てみました。
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1903年のロンドン。新作劇が不評で気落ちしていた劇作家ジェームズ・バリは、散歩に向かった公園で若い未亡人のシルヴィアとその4人の息子たちと出会う。少年たちと凧揚げやインディアンごっこなどしてすぐに打ち解けていくが、中でもどこか冷めた表情の三男のピーターを気にかけるようになる。彼は父親の死にショックを受け、早く大人になろうとしているかのようだった。
ピーターに、次第に自分の少年時代を重ねて見るようになったバリは、その思いや親子との交流で得たものを新作劇に投影していく。そんなふうにしてバリとシルヴィア親子との交友が深まっていく一方、バリの妻メアリーとの仲は冷え切っていった。
シルヴィアは咳き込むことが多くなり、子どもたちも心配するが、彼女は「検査したところで無駄」と自分の死を覚悟し、バリに「いつかあなたのネヴァーランドについて教えて」と言う。シルヴィアのところに入り浸りで帰って来ない夫に絶望し、妻のメアリーはとうとう男をつくって家から出ていく。
新作の永遠の少年ピーター・パンの奇想天外な物語は、大人たちの忘れていた子ども心を呼び覚まし、大成功を収めた。モデルとなったピーターを「あなたがピーター・パンなのね」と誉めそやす大人たちに、ピーターは「ピーター・パンはこの人だよ」とバリを指さす。
病状が悪化し、ベッドから起き上がれないほどになったシルヴィアのために、ある日、バリは劇場のスタッフを連れてきて目の前で上演する。そして言う。「これがネヴァーランドだよ」
私が好きなシーンは、シルヴィアの体を心配する長男ジョージがバリと劇場で話すところ。既婚者であるバリが未亡人シルヴィアのもとに通うのをよく思わないシルヴィアの母親から出入り禁止を申し渡されたのを察して、ジョージが「おじさんは悪くない、お母さんが傷つくと思っているんだ」という顔を見て、バリが「すごいな、君はこの30秒の間に大人になった」と言うんですよね。
「少年」から「男」になる、大人の階段を上る、その瞬間がよく描かれているなと思いました。
バリがシルヴィアのところに通うのが社交界の噂になっていたのは予想つきますが、それに加えて少年たちに対して不適切な感情があるんじゃないか、という小児性愛疑惑が当時からあったというのがちょっと驚きました。
ますますミュージカルが楽しみになってきましたよ。
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