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「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」 感想

 


 

バス・ラーソン監督『ムーラン・ルージュ』のミュージカル化。
この作品は、ミュージカルなのにオリジナルの音楽はほぼなくて、
オッフェンバックの『天国と地獄』――カンカンの曲――から、「ムーラン・ルージュ」のテーマ曲としてリメイク(?)された1970年代の女性ボーカルグループLabelleの「Lady Marmalade」をはじめとする20世紀に大流行したポピュラーミュージックが約70曲が散りばめられているそうです。(こういうミュージカルを「ジュークボックスミュージカル」というらしい)

 

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帝国劇場の中に入ると、そこはもうムーラン・ルージュの世界。赤い内装が目に飛び込んできます。
客席に入ると、舞台左手に「ムーラン・ルージュ」のシンボルである赤い風車、右手には青い象のオブジェが見えます。(開演前まで舞台を撮影可でした。)

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開演ベルが鳴っていないのに、気が付けば舞台上にはエロティックな格好をしたダンサーがリズムをとって歩いています。
女性と同じコルセットに網タイツの衣装の男性ダンサーもいて、頽廃的な雰囲気倍増です。
そして奥に4人のダンサーのシルエットが浮かびあがり、"Welcome to the Moulin Rouge!"の曲とともにミュージカルが始まります!

(あらすじ)

1899年、パリ。アメリカ人の若い駆け出しの作家クリスティアンは、ボヘミアンにあこがれ、パリのモンマルトルを訪れる。そこで
その日暮らしの画家トゥールーズ=ロートレックと、タンゴダンサーのサンティアゴと出会い意気投合する。
ふたりは、ナイト・クラブ「ムーラン・ルージュ」でショーをやりたいと考えていて、クリスティアンの即興でつくった歌を聞いて「これは使える」と判断する。そしてまずはクラブのスターのサティーンに取り入ってオーナーのジドラーに話をしてもらおうともちかける。

クリスティアンは、「輝くダイヤモンド」と称されるサティーンに一目惚れし、彼女も才能ある若者を好きになる。しかし経営難の「ムーラン・ルージュ」のために、サティーンは大金持ちのモンロス公爵をパトロンとして惹きつけておく必要があった。

新作のショーの練習にかこつけて、公爵に隠れて逢瀬を重ねる二人。しかしそれも公爵にバレて、クリスティアンの命を盾に取られたサティーンは、恋人に別れを切り出す。

ショーの初日、病をおして舞台に立ったサティーン。舞台に乱入してきたクリスティアンと愛の歌を歌いあげ、そのまま恋人の腕の中で絶命する。


で、ここで終わりか、アンコールかと思いきや、いきなりカンカンが始まったりしたので、悲しんでいいのか楽しんでりゃいいのかわからないラストでしたね。どこまでが本筋でどこまでがおまけかわからないというか・・・。

元モーニング娘。の加賀楓さんがニニ役で出ていて、それでこの作品を観に来たんですよ。抜群のスタイルでダンスも折り紙付きだったけど、正直演技のイメージのない人だったので、卒業後の初仕事がミュージカルと聞いてびっくりしていたのですが、いい意味で裏切られましたね。口調はきついけどサティーンのことを本気で心配しているのが伝わってきました。色気はまだまだでしたけどね。

ちなみに、この日のサティーン役は平原綾香さん、クリスティアン役は井上芳雄さんでした。平原綾香さんはさすがの貫禄と色気、井上芳雄さんは闇の帝王トート閣下とは打って変わって、初心な青年にしか見えませんでした。役者さんってすごい!


映画では、ショーの内容が、マハラジャの想い人の遊女とその恋人のシタール奏者の三角関係でしたが、ミュージカルでは「裏社会のボスと街娼と船乗り」みたいに改変されていましたね。

いまではナイトクラブのスターでクルティザンヌの(高級娼婦、日本でいう花魁みたいなもの)サティーンも、最初は13歳で客を取っていた街娼でした。オーナーのジードラーもおそらくポン引きで、二人して「ムーラン・ルージュ」を立ち上げた。だからこそ、家である「ムーラン・ルージュ」を守るために、公爵に身を売る決断をしたのでしょう。華やかに見えるショービズの世界も、一皮むけば暗闇という対比が描かれた作品だと思います。


公式サイト:
https://www.tohostage.com/moulinmusical_japan/index.html

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