夏休み文楽特別公演 第二部 感想
第2部は「生写朝顔話」。上村松園に「娘深雪」という作品があって、「可憐な娘」ってイメージしかなかったのですが・・・。(写真は配信のスクショです。)
宇治で蛍狩りをしていた阿曽次郎は、浪人に絡まれたところを助けてやったことがきっかけで、秋月弓之助の娘・深雪と知り合う。
しかしお国の大事で急ぎ帰国せざるをえなくなった阿曽次郎は、別れ際に「露のひぬ間の朝顔に、照らす日かげのつれなきに、哀れ一むら雨のはらはらと降れかし」との唱歌を深雪の扇にしたためる。
秋月家の方も、国元の芸州への帰国しなければならなくなる。悪天候のため停泊していた明石で、想い人を想って「朝顔」の唄を歌っていたところ、たまたま近くで小舟に乗っていた阿曾次郎がその歌声に気づく。深雪は小舟に乗り移り、「離れたくない、連れて行ってもらえないのならばここで身を投げる」と懇願し、阿曾次郎も連れていく決心をする。深雪が書置きを残しておこうと元の船に戻ったとたん、船が動き出し、二人は離れ離れになる。深雪は朝顔の唱歌の扇を阿曽次郎の小舟に投げ入れる。
深雪には、大内家の家臣駒沢次郎左衛門との縁談が起こり、これを嫌った深雪は家出をするが、実は駒沢次郎左衛門こそ、駒沢の家を継いだ阿曽次郎その人。そうと知らぬ深雪は、流浪の果てに盲目の乞食の身となる。
島田宿の戎屋徳右衛門方に、岩代多喜太と共に投宿した駒沢阿曾次郎。実はお家乗っ取りを企んでいる岩代は、なんとか阿曾次郎を始末したいと思っている。怪しげな医者の萩野祐仙に指示し、お茶をたてる茶釜の中にしびれ薬を入れさせる。それを陰でこっそり見ていた徳右衛門が機転を利かせて茶釜を取り換える。
「お茶に気を付けるように」と徳右衛門が阿曾次郎に言っているのを聞いて、「疑いをかけられた」と岩代、祐仙が怒り出す。先に解毒薬を飲んでいた祐仙は、「自分が先に飲んでみせる。何ともなかったらただでは済まさない」と言って点てた茶を飲む。しかし入っていたのは笑い薬。笑い転げる祐仙を前に、何も知らない岩代は怒り、その場を去る。
阿曾次郎は部屋に貼ってあった朝顔の唄に胸騒ぎを覚え、朝顔の唄で評判の瞽女がいると聞き、その瞽女を招く。身の上話を聞くと、やはりそれが深雪であった。とはいえ岩代の手前、名乗ることもできず、深雪も意中の人が目の前にいるのに盲目のために気づかない。
阿曾次郎は、朝顔の扇と眼病の薬を徳右衛門に託して旅立つ。
駒沢が阿曽次郎であったことを知った深雪は、あわてて後を追いかけるが、大井川の川止めに阻まれてしまう。
そこへ徳右衛門がやってきて、自分が秋月家ゆかりの者であり、阿曾次郎が残した薬を甲子の年生まれの男である自分の生き血と合わせて飲めば目が治るといい腹を切る。それによって深雪の目も見えるようになる。
宇治川のほとりで出会った男女が、運命のいたずらですれ違う悲恋なのですが、ちょっと女の方が思い込み激しくて怖いな、という話でした。
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