文化・芸術

ミュージカル『ベートーヴェン』配信を観ました

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(写真は公式サイトより)

『エリザベート』のクンツェ&リーヴァイの作品、花總まりさんと井上芳雄さんが主演とくれば、これは観ないわけにはいかない!
とはいうものチケットはとれなかったので、配信に飛びつきました。

ベートーヴェンの手紙の中で書いた「不滅の恋人」が、アントニー・ブレンターノという女性だという説を採用し、その出会いと別れを描いています。

あらすじ

ベートーヴェンの葬儀で花を手向ける一人の女。二人の出会いは17年前に遡る――

「運命の人」――「トニ」ことアントニー・ブレンターノとは、自身のパトロンであるキンスキー公爵のパーティで知り合った。
演奏を披露するが、貴族たちは平民で粗野なベートーヴェンのことを嘲ったため、怒って演奏を中断して会場を出ていく。

そのことに腹を立てたキンスキー公爵が報復として、ベートーヴェンが指揮するはずだった宮廷劇場でのコンサートを中止にしたことを知り、ベートーヴェンは公爵の屋敷を訪れ撤回を求める。
その場にいたトニが、あの日の貴族の態度の酷さを指摘すると公爵も態度を軟化させ、コンサートのことは保留に。

トニは、亡父の遺産を整理しに、フランクフルトに銀行家の夫を置いてウィーンに来ていた。
後日、彼女の家にベートーヴェンがお礼を言いに訪れたことをきっかけに、二人の仲は深まっていく。
恵まれた生活を送っていても、夫との仲は冷え切っていたトニにとって、ベートーヴェンとの交流は心安らぐものだった。

ベートーヴェンは、かねてからの耳の不調を調べるために医師のもとを訪れるが、「このままでは耳が聞こえなくなる」と宣告される。

二人の関係はやがて夫の耳にも入り、子どもを取り上げられることを恐れたトニのために、ベートーヴェンは別れを決意するが―――。

 

感想を言うならば、
〇 一言でいえばメロドラマ。
  いかに耳が聞こえなくなった苦悩を乗り越えてあのような楽曲をつくりあげたか、ということも描かれますがどちらかというとテーマが「不滅の恋人」、『エリザベート』のような大河ドラマと比べるとスケールが違う、って感じがありましたね。
〇 ベートーヴェンの楽曲がふんだんに引用されていて、かつクンツェ&リーヴァイの曲だとわかるところがすごい
〇 全画面映像パネルの背景って、ああいうバックってNHK紅白ぐらいでしか見たことがない
〇 ラストの雷鳴をバックに指揮棒を持つ手を掲げて立つベートーヴェンの姿が圧巻。
〇 配信だから顔の表情もばっちりだったんだけど、主演のベートーヴェン役の井上芳雄さんのクドい表情(←褒めている)
トニ役の花總まりさんの美しい泣き顔が印象に残りました。
〇 『エリザベート』のトートダンサーのような、「音楽の精霊」なるゴーストダンサーたちがいました。

 

1/21にも兵庫公演の大千秋楽配信がありますが、

きっと再演もあるだろうから、生の舞台をいつか見たいですね。
  
公式サイト:
https://www.tohostage.com/beethoven/

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「薫玉堂」のお線香「横浜」

創業は安土桃山時代文禄三年(1594年)、日本最古の御香調進所としての伝統を受け継ぐお香の専門店「薫玉堂」。

先日東京ミッドタウンに寄った際、フラッとお店に入っていました。

店内には何十種類もの線香があり、いくつかについてはその場で試すこともできます。

はっきり言って、どんなのが好みなのかわからないので、適当になじみのある地名を冠した「横浜」を選びました。

港町・横浜をイメージしたのか、ウルトラマリンブルーのお線香です。

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試しに1本、火をつけてみたのですが、6畳間だとけっこう香りが充満して翌日以降も香りが残りました。

でも雅な雰囲気で、気分が変わっていいですね。

公式サイト:
https://www.kungyokudo.co.jp/

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国立劇場雅楽公演「安摩・二ノ舞」「新鳥蘇」観ました

国立劇場で雅楽公演を観てきました。思えば、小劇場ばかりで、大劇場の方に入ったのは初めて。小劇場よりロビーのシャンデリアとか豪華なつくり。

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国立劇場のロゴマークの飛天

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豪華なロビー

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鏡獅子の人形

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「安摩・二ノ舞」
この演目は、もともとは寺院の堂塔の楽慶供養などに催される舞楽法要で演奏されていたものだったそうです。
それも法要後に余興として行われるもので、まず最初に「安摩・二ノ舞」を演奏するのが慣例でした。
「安摩」は、「千と千尋の神隠し」に出てきた「春日様」のような、「雑面(ぞうめん)」と呼ばれる長方形の紙に三角や三つ巴などの
図形で顔を表した面を着けた舞人が2人で舞います。
その後、黒い面を着けた翁と媼が出てきて、「安摩」を真似して舞おうとするけれど、足がヨレヨレで上手く舞えない、という滑稽な「二ノ舞」が続きます。

「新鳥蘇 一具」 納序・古弾・当曲・後参

序・破・急を通しで演奏することを「一具」と呼ぶとのことですが、ベートーヴェンの第九で言ったら、合唱のある第4楽章だけでなく、全楽章を演奏するようなものですかね。この大曲は、1974年の復活上演以来、約半世紀ぶりの再演なのだそうです。
これも特徴的な面を着けます。三日月のような眉と目、頬には、韓国の伝統的な婚礼で花嫁が付けている様な赤い丸。この顔は、この舞楽が伝来した朝鮮半島の人をイメージしてるんだろうな。そして頭には鶏のトサカみたいな形をした「別甲(べつかぶと)」を被ってます。
舞人は6人(4人のときもあるらしい)。6人も舞うと本当に華やかです。後半は2人で舞います。

これで私の国立劇場通いも終止符を打ったわけなのですが、
仮にも「国立」を名乗るのに、10年近くも専用の劇場がなくて、あちこち間借りして公演を続けていくのってどうなんでしょうね。
まだ建て替えする建築会社も決まっていないと聞くし、今後どうなるのやら。

 

半蔵門駅のサン・マルクカフェ。ハロウィン仕様の紅芋とかぼちゃのパフェ。美味しかった🌕
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ガウディとサクラダファミリア展 感想

先日、東京国立近代美術館で開催中の「ガウディとサクラダファミリア」展に行ってきました。バルセロナに行ったのがもう4年前のことだし、いろいろ情報を補完したくて。

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平日だし入場は予約制のはずなのに、朝から長蛇の列。入場制限してこれだから、してなかったら混雑で身動き取れないとか、入場まで2時間待ちだったかも。

 

4部構成になっていて、第1部「ガウディとその時代」でガウディの年譜やサクラダファミリア以外の作品を、そして第2部「ガウディの創造の源泉」で、当時の建築様式や彼が影響を受けたものを紹介。

メインは第3部「サクラダファミリアの軌跡」。実はサクラダファミリアは、ガウディが最初から手掛けた建築ではなくて、主任建築家としては2代目だそうだ。(現在主任建築家は9代目。)この部門は撮影可でした。

「降誕の正面」のメイン「ベツレヘムの星」の彫刻のレプリカ

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全体模型

独特な形の塔がたくさんあってわかりにくいけど、教会建築としてはオーソドックスなラテン十字型。

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身廊部(聖堂中心部の回廊)の模型

基本はゴシック建築にあるヴォールト天井のようだが、もっと枝分かれしていてまるで森の中にいるような感じ。、実際の建物の中では、ここに午前中は暖色系のステンドグラスの光が差し込むものだから、この世のものとは思えない空間が現れるんですよ。

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あとは、鐘塔頂華(しょうとうちょうか(ちょうげ))について、模型や映像で紹介されてしました。
鐘塔の先端部分。十二使徒に捧げられたそれは、ちょっとずつデザインが違うとのこと。(写真撮ってませんでした)
その他にも、マリアの塔の星の冠の模型とか様々な彫刻とかが展示されていました。

第4部は「ガウディの遺伝子」ということで、ガウディに影響を受けた現代建築の紹介をしてしめくくり。

 

図録は写真や説明が充実していて3,300円でしたが、買って損なし。グッズもいろいろありましたね。
混みすぎだろとは思いましたが、とても見ごたえのある展覧会でした。

バルセロナ・・・また行きたいなぁ。

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トリケラトプスの美しさに目覚めてしまった・・・。恐竜科学博感想

六本木の東京ミッドタウンで開催中の「恐竜科学博」に行ってきました。

ベルリンの自然科学博物館に、クヌートの剝製を見に行ったことがあるのですが、そこは恐竜の骨格標本の展示にも力を入れているところでして、そこで「恐竜ってかっこいいな・・・!」になったんですよね。まあその程度ですが。

白亜紀後期、現在の北アメリカ大陸西部に存在していたという、失われた大陸「ララミディア」。そこはトリケラトプスやティラノサウルスをはじめとする最後の恐竜たちの楽園だったそうです。

本展では、多彩な骨格標本と最新の技術を駆使し、ララミディアの生態系や恐竜の姿に迫ります。


群れからはぐれた幼いトリケラトプスの子どもが森の中をさまよい、その道中で「ララミディア大陸」の住人たちと次々に遭遇していく。そういうストーリー仕立てで展示が構成されていて、見学者は小さいトリケラトプスの影を追いかけるようにして展示を見ていきます。

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この幼体の影が道案内をしてくれます。

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大型翼竜ケツァルコアトルスの骨格標本、これが予想外に格好よかった!大きな翼は長さ10mにも及ぶもので、これが空から舞い降りてきたら小さい恐竜は生きた心地がしなかったろうな~。

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肉食系の大型海洋爬虫類モササウルスが海の中を泳いでいる風の展示。

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さて本展の主役、「世界一美しい」と言われる骨格標本、トリケラトプスの通称「レイン」。現存する骨格標本のなかで最も完全で保存状態も最良のものだとか。

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う、美しい骨だ・・・!(←なんちゅう感想だ💦)

それから、結構な大きさの皮膚痕も展示されていましたが、皮膚が残っていることは珍しいそう。


それを相対して展示されているのが、ティラノサウルス・通称「スタン」

しっぽが長い・・・!かっこういい!

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入場料が結構するからなのか、夏休みなのにもかかわらず見学者が少なめでゆったり見れたのでよかったのですね。

 

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「イマーシブミュージアム」展に行きました

日本橋のコレド室町で開催中の、「イマーシブミュージアム」に行ってきました。

イマーシブImmersiveは英語で「没入感」を意味することばで、VRなどの進化したデジタル技術を活用することで、絵や物語の世界に入り込んだかのような体験を演出できると注目されています。

本「イマーシブミュージアム」展では、ゴッホやスーラなどのポスト印象派の絵画が大きな部屋の壁や床いっぱいに映し出され、次々に展開する映像を床に座って見ながら「没入感」を楽しむことができます。

 

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  最初、画面に小さな球体のようなものが次々に出てきて動いていく、そしてそれがスーラの点描のタッチになり、「グランド・ジャット島の日曜日の午後」につながっていく。
また、色とりどりのリボンのようなものが風に舞っている、そしてそれがゴッホの筆のタッチにつながり、花弁のようなものが降り注ぎヒマワリの絵が現れる。
立方形がセザンヌの「ガルダンヌから見たサント・ヴィクトワール山」へ、肉感的なマネキンがゴーギャンの『我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか』、
そんな感じで点や線が見る間に変容していきます。

その変化の速さ、鮮やかさに圧倒されますが、その感覚を「没入」というのかは正直わかりませんでした。

こういうのを体験するのは初めてでしたが、あらかじめ「絵の中に入り込むぞ」などという自覚をもって見た方がより満足度が高かったかも。
ただ映像を見て終わり、になりかねないので。
3回ぐらい見ればよかったな。

併設のカフェやショップスペースには、登場した絵画や画家に関連した飲食物やグッズが売っていたり、
AIがゴッホのタッチで似顔絵を描いてくれるコーナーもありました。「ウ~ム?」とかなんとか唸り声が聞こえるのがびっくりしたよ。

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う~ん、似てるかな・・・?どうだろ

公式サイト:https://www.immersive-museum.jp/

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「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」 感想

 


 

バス・ラーソン監督『ムーラン・ルージュ』のミュージカル化。
この作品は、ミュージカルなのにオリジナルの音楽はほぼなくて、
オッフェンバックの『天国と地獄』――カンカンの曲――から、「ムーラン・ルージュ」のテーマ曲としてリメイク(?)された1970年代の女性ボーカルグループLabelleの「Lady Marmalade」をはじめとする20世紀に大流行したポピュラーミュージックが約70曲が散りばめられているそうです。(こういうミュージカルを「ジュークボックスミュージカル」というらしい)

 

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帝国劇場の中に入ると、そこはもうムーラン・ルージュの世界。赤い内装が目に飛び込んできます。
客席に入ると、舞台左手に「ムーラン・ルージュ」のシンボルである赤い風車、右手には青い象のオブジェが見えます。(開演前まで舞台を撮影可でした。)

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開演ベルが鳴っていないのに、気が付けば舞台上にはエロティックな格好をしたダンサーがリズムをとって歩いています。
女性と同じコルセットに網タイツの衣装の男性ダンサーもいて、頽廃的な雰囲気倍増です。
そして奥に4人のダンサーのシルエットが浮かびあがり、"Welcome to the Moulin Rouge!"の曲とともにミュージカルが始まります!

(あらすじ)

1899年、パリ。アメリカ人の若い駆け出しの作家クリスティアンは、ボヘミアンにあこがれ、パリのモンマルトルを訪れる。そこで
その日暮らしの画家トゥールーズ=ロートレックと、タンゴダンサーのサンティアゴと出会い意気投合する。
ふたりは、ナイト・クラブ「ムーラン・ルージュ」でショーをやりたいと考えていて、クリスティアンの即興でつくった歌を聞いて「これは使える」と判断する。そしてまずはクラブのスターのサティーンに取り入ってオーナーのジドラーに話をしてもらおうともちかける。

クリスティアンは、「輝くダイヤモンド」と称されるサティーンに一目惚れし、彼女も才能ある若者を好きになる。しかし経営難の「ムーラン・ルージュ」のために、サティーンは大金持ちのモンロス公爵をパトロンとして惹きつけておく必要があった。

新作のショーの練習にかこつけて、公爵に隠れて逢瀬を重ねる二人。しかしそれも公爵にバレて、クリスティアンの命を盾に取られたサティーンは、恋人に別れを切り出す。

ショーの初日、病をおして舞台に立ったサティーン。舞台に乱入してきたクリスティアンと愛の歌を歌いあげ、そのまま恋人の腕の中で絶命する。


で、ここで終わりか、アンコールかと思いきや、いきなりカンカンが始まったりしたので、悲しんでいいのか楽しんでりゃいいのかわからないラストでしたね。どこまでが本筋でどこまでがおまけかわからないというか・・・。

元モーニング娘。の加賀楓さんがニニ役で出ていて、それでこの作品を観に来たんですよ。抜群のスタイルでダンスも折り紙付きだったけど、正直演技のイメージのない人だったので、卒業後の初仕事がミュージカルと聞いてびっくりしていたのですが、いい意味で裏切られましたね。口調はきついけどサティーンのことを本気で心配しているのが伝わってきました。色気はまだまだでしたけどね。

ちなみに、この日のサティーン役は平原綾香さん、クリスティアン役は井上芳雄さんでした。平原綾香さんはさすがの貫禄と色気、井上芳雄さんは闇の帝王トート閣下とは打って変わって、初心な青年にしか見えませんでした。役者さんってすごい!


映画では、ショーの内容が、マハラジャの想い人の遊女とその恋人のシタール奏者の三角関係でしたが、ミュージカルでは「裏社会のボスと街娼と船乗り」みたいに改変されていましたね。

いまではナイトクラブのスターでクルティザンヌの(高級娼婦、日本でいう花魁みたいなもの)サティーンも、最初は13歳で客を取っていた街娼でした。オーナーのジードラーもおそらくポン引きで、二人して「ムーラン・ルージュ」を立ち上げた。だからこそ、家である「ムーラン・ルージュ」を守るために、公爵に身を売る決断をしたのでしょう。華やかに見えるショービズの世界も、一皮むけば暗闇という対比が描かれた作品だと思います。


公式サイト:
https://www.tohostage.com/moulinmusical_japan/index.html

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『エリザベート』生配信を見ました。そして同時視聴してみたら

ミュージカル『エリザベート』が博多座で千秋楽を迎えました。
それを記念して、1/31の千秋楽、の前日の1/30の公演が生配信されました。

1/30の配信を見て、いきおい余って1/31の配信も購入してしまいましたよ。

両方見て思ったのは、やはり演者によって同じ作品でも違った雰囲気になるな~、ということ。


1/30は、愛希れいかさんのエリザベート、井上芳雄さんのトート

1/31は、花總まりさんのエリザベート、古川雄大さんのトート


花總さんのエリザベートは、たおやかで妖精のようだけど、芯の強い女性

それに対して愛希さんは、もっと現代的な女性像で、意志の強い感じ


エリザベート像よりもっと印象が違ったのが、トート。

井上芳雄さん演じるトートは、たっぷり溜める歌い方、距離近めボディタッチ多めの演技で、「クセつよ」なトート


対する古川雄大さんのトートは、あらすじと「生きた人間の美少女に恋をした死神」(←こう書くと漫画の『悪魔の花嫁』みたいだが・・・)と言われて頭に思い浮かぶそのままのキャラで、「神秘的」なトート


エリザベートに拒まれて、古川トートが「なぜ俺を愛さない!?悔しい!ぐぬぬ」ってな感じなのに対して、井上トートは「面白い…いつまで俺の誘惑に抗えるかな?」と冷めた視線で見ている感じ。


サラッと歌っている分古川トートの方が歌詞が聞き取りやすいのですが、個性的で面白いと言ったら井上トートかな~。


アーカイブで1週間程度観ることができたので、せっかくなので画面を半分ずつにして同時視聴してみました。


「扉を開けておくれ」
夫の皇帝フランツ・ヨーゼフがエリザベートのもとを訪れるが、「姑の皇太后ゾフィーにとられた息子のルドルフを返して!私かお義母さまか選んで!」と最後通牒を突き付けられる。そのあと、トートがエリザベートのもとを訪れるシーン

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第一幕最後の場面
フランツ・ヨーゼフがエリザベートの要求を飲むと伝えに来たシーン

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「キッチュ!」
ルキーニが物売りに扮して、「仲睦まじい皇帝夫妻なんて大嘘、まがい物さ」とエリザベートの真の姿を面白おかしく歌い上げるシーン。

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「踊るときは」
ハンガリーの女王として戴冠したエリザベートが

トートに「私はもう人形じゃない。踊るときは、躍る相手は自分で選ぶ!」と言い切るシーン

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母にもかまってもらえず寂しい少年時代を過ごした皇太子ルドルフ。猫を殺したと言う子ルドルフに
井上「やるじゃん」って顔
古川「え、まさか」とぎょっとしている

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ルドルフに銃口を向ける井上トートの顔、まあワルい。

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「闇が広がる」
皇帝である父と政治的に対立してしまった皇太子ルドルフ。このままではハプスブルクが滅亡するのは目に見えているのに何もできない、と嘆くルドルフに、トートは「立ち上がれ、未来の皇帝陛下!」と奮起を促すが、それは破滅へと導く第一歩だった。

見てるとけっこう激しくルドルフを突き飛ばしている井上トート
最後にがっしり握手してる。(古川トートはなし)

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ルドルフの死の場面

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ラストシーン
とうとうエリザベートはトートの腕に抱かれる

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あたりまえだけど、歌い始めとか調整してあわせても、歌い方や場面転換でどんどんずれてくるんですよ。
「贅沢な遊びだね~」と言われたけど、こういうのもわかって面白かったので、同時視聴やってよかったです。

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「宮廷の響き――雅楽と琉球御座楽」を見ました

国立劇場で開催された「宮廷の響き――雅楽と琉球御座楽(うざがく)」公演を見に行ってきました。

伝来した時期は違えど、同じ中国の宮廷音楽にルーツを持つ、雅楽と琉球王国時代の「御座楽」。今回は「即位」をテーマにした楽曲が演奏されました。


途中の解説のコーナーでは、雅楽や御座楽の歴史について、また装束を身に着けた演奏者さんが楽器を演奏しながらの紹介がありました。

雅楽も演奏を見る機会が少ないですが、琉球御座楽のほうは見るのも初めて。琉球国王の即位時や、江戸の将軍家等を訪れる「江戸上り(のぼり)」で演奏された儀礼的な音楽だそうです。
唐時代に伝来した雅楽と違い、明の時代に琉球王国が明国と冊封関係を結んだときに入ってきたということで、使う楽器も違いますし、旋律もより中国っぽいと思いました。
もっともこれは、楽器も楽譜も残ってないのを、当時の記録をもとに復元したり、それではないかと思われる曲を中国の資料から選んだことも関係あるのかなと思います。

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(写真は、那覇文化芸術劇場なはーと様のホームページより拝借しました。)
https://www.nahart.jp/stage/uzagaku/

 

各国に伝来した宮廷芸能がほとんど残っていないのに対して、日本の雅楽は当時の伝承が途切れることなく受け継がれてきたことを考えると、素晴らしいことだと言わざるを得ませんね。

そういう歴史を勉強できたし、雅楽のあの壮麗な舞を見られて大変満足しました。

雅楽の演目は、「萬歳楽(まんざいらく)」。4人の舞人が襲装束で、一番上に着る袍(ほう)の右肩を脱いで下襲(したがさね)の右袖を見せる「片肩袒(かたかたぬぎ)という着付けをして舞います。頭には鳥兜(とりかぶと)を被ります。

中国では、賢王の世には鳳凰がやって来て「賢王万歳」とさえずるといい、「萬歳楽」はそのさえずりを音楽に、振る舞いを舞に象ったものだという説があるとのことです。

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(画像は、洋遊会さまのホームページより拝借しました。)
http://youyukai.com/bugaku.html

 

今回も頑張って着物を着てみました。せっかくそろえたんだから、着てあげないと着物もかわいそうだよね~。

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グレーの小紋、柄が華やかなので帯はお太鼓柄で無地場の多い黒の帯、着物の黄色い菊の花のお色をとって、帯揚げと帯締めは黄色を合わせました。帯締めは丸ぐけ(中に綿を詰めた帯締め)のものを選んで、ちょっとアンティーク風味に。


昭和41年開場の国立劇場は、来年11月から令和11年秋にかけて再整備をするようで、現在「さよなら公演」と銘打って様々な演目をやっています。しかし6年も休館ってすごいな。その間の公演どうなっちゃうのかな。これを機に地方公演や海外公演でもするのかしら。
新しく生まれ変わった国立劇場が楽しみです。

 

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ミュージカル『エリザベート』感想

あの人気作品『エリザベート』のチケットを友人が取ってくれたので、行ってきました!

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(せっかくなので気合を入れてマダ~ムな恰好)


オーストリア皇帝、フランツ・ヨーゼフの皇后エリザベートの生涯を描いたものですが、ただの伝記ドラマではなく、黄泉の帝王・トート(ドイツ語でTod「死」を意味する)に愛され、その誘惑を受けている、という設定です。
そしてその生涯を、彼女を暗殺したルキーニという男に語らせているというところも他にはない設定です。

主要人物がダブルキャスト、トリプルキャストとなっており、組み合わせが掲示されていました。

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≪あらすじ≫

自然豊かなバイエルンで育った天真爛漫な少女・シシィが皇帝に見初められ結婚する。しかしウィーン宮廷のしきたりに馴染めず、また産んだ子も姑である皇太后ゾフィに取り上げられ、夫すら「母の言うとおりにすればいいから」と守ってもくれなかった。それでも彼女は自由を求め自分を貫くことをやめようとしなかった。

フランツ・ヨーゼフの浮気を知った彼女は宮廷を飛び出し、旅から旅の生活を続けるようになる。その間に皇太子ルドルフは父皇帝に対してクーデターを起こそうとするも失敗、窮地に追いやられる。自分の心を守るのに精いっぱいのシシィは、すがる息子の手を振り払う。絶望したルドルフはトートの手を取る――自殺する。息子を失ったシシィは「死なせて」とトートに縋りつくが、「死は逃げ場ではない」と突きはなす。


その後も放浪を続ける皇后を、皇帝フランツは愛し続けるが、二人の溝が埋まることはなかった。
そして1898年9月10日、スイスのレマン湖のほとりでイタリア人の無政府主義者ルキーニに刺殺される。トートはようやくエリザベートをその腕に抱く。

 

端の方だけど最前列という良席。役者さんが目の前に立っているんですよ!エリザベート役の愛希れいかさん、「顔小っさ!」とびっくりしました!
ただ、目の前に立たれて奥にいる人の演技が見えなかったり、
ルドルフが死を選ぶ場面で、ルドルフとトートのキスシーンがあるんですけど、よく見えなかったりしたのがちょっと残念でしたね・・・。

トート役の山崎育三郎さん、テレビドラマやバラエティでのコミカルなイメージしかなかったから、トートのあまりの妖艶さにびっくりしましたし、声も、多少エコーはかかっていたけど、響きの深さがほかの人と全然違いました。


本当に圧倒されて、終わった後もしばらくは二人とも言葉少なでしたね。
あんな、「・・・すごかった!」としか出てこない作品初めてよ。

 


観劇後は、同じ通りにあるサダハルアオキのティールームへ。

限定のモンブランをいただきました。さすが都会のモンブランは洒落ている。

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≪余談≫

ポスターをよく見たら、エリザベートと山崎トートの髪型がほとんど一緒なんですね。

確かに舞台で見たとき、ハーフアップで髪を編みこんでいて、男性にしては凝った髪型だなとは思っていましたが・・・。

トート《死》がエリザベートの分身だとしたら、

ルドルフは死んで初めて母の腕に抱かれた・・・という解釈が成り立つのでは?と

一瞬で妄想炸裂してしまいましたよ。

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