映画・テレビ

映画『独裁者と小さな孫』感想


 

 

独裁政権に支配される国。ある日、クーデターが起こるが、老いた独裁者は家族を海外に避難させるために空港へ向かう。
しかし幼い孫息子は、ガールフレンドと離れたくないとダダをこね祖父とともに残る。
しかしすでに指名手配され、腹心と思っていた元帥にも裏切られた独裁者は逃亡を余儀なくされる。

旅芸人に身をやつし、孫にも女の子の格好をさせて素性を隠しながら、独裁者と孫は海を目指す。

途中、警察の検問に遭遇するが、検問とは名ばかりで警官たちは難民たちに金品をたかっているばかりか、婚礼を挙げたばかりの花嫁にも暴行を加えていた。見殺しにされ絶望した花嫁は自らを銃で撃たせ命を絶つ。

独裁者は、若いころ懇ろだった娼婦のもとに向かい金を貸してもらう。

解放された政治犯の集団に紛れ込む。中には独裁者を殺すと息巻く者もいれば、「いや、負の連鎖を生むだけだ」と諭すものもいた。
そして独裁者の息子をテロで暗殺した犯人もいた。

政治犯の一人が住む村に着くが、あんなに再会を待ち焦がれた妻は
すでに別の男と所帯を持っていた。絶望した政治犯はその場で自殺する。

ようやく海にたどり着いた独裁者と孫だったが、民衆に見つかり取り囲まれる。
彼は、多くの罪なき国民を政権維持のために処刑してきた冷酷な男だった。
「絞首刑にしろ」「バラバラにして一人ずつ懸賞金をもらえばいい」
口々に叫ぶ民衆を前に独裁者は----


映画を見る前、題名だけ見て「独裁者」というからなんとなく南米の話かと思っていましたが、カーキ色の軍服に勲章ジャラジャラ、ロケ地はジョージアということで、旧ソ連の周辺諸国を思わせる架空の国が舞台の話でした。

監督は、ありそうな話、とフィクションでこの映画を構想したそうですが、この映画が発表されて2年後くらいに実際にウクライナでクーデターが起きたとき、「僕の映画の真似をしたんだ」と言ってたとか。


きらびやかな宮殿に住み、街中の電気を自分の言うままにつけたり消したりしてこの世の栄華を誇っていたのに、
一転追われる身となり、貧困に苦しむ国民や腐敗した公権力(軍や警察)を目の当たりにする。

実際は目を覆いたくなるような場面の連続ですが、
どこか現実離れして、「おそろしいメルヘン」といった印象。
孫息子の視点で見ているからでしょうか。

芸人のふりをできるほどのギターの腕前を持ち、30歳にして14歳の娼婦と恋をした男。
どうやって大統領まで成り上がったんだろう。
彼の半生が気になります。

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映画『グリーンブック』感想

ヴィゴ・モーテンセンさんが好きなので、ずっと気になっていたのですが、Amazonprimeで100円セールだったので見てみました。

 


 

1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニーは、客を殴ってクビになる。

ある日、トニーはなじみの客の紹介で、黒人ピアニストの運転手の職にありつく。彼の名前はドクター・ドン・シャーリー。カーネギーホールの上階で王様のように暮らし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。クリスマスには戻る予定で、二人は〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。

案の定、あちこちでドンは差別を受けます。博士号をもつようなインテリで、コンサートでは熱狂的に迎えられ賞賛されるドンですが、掃きだめみたいな黒人専用ホテルにしか泊まれなかったり、バーに行けば白人に絡まれて袋叩きにされたり、会場内のトイレを使わせてもらえず、屋外にある汚いトイレを使うよう言われたり、次の街を目指して夜車で走っていたら、「黒人は夜間外出は禁止」と言われブタ箱に放り込まれたり・・・・。
家に来た黒人の修理工が口をつけたコップを捨てたようなトニーでさえも、このあからさまな差別にショックを受けます。

トニーはニューヨークに置いてきた妻子に向けて手紙を書くのですが、「今日は何をした、何を食べた」というつまらないことばかり。見かねたドンは、ロマンチックな文章を考えてやります。そんな交流をとおして二人はお互いを理解していきます。

ツアーの最後の目的地、アラバマ州のバーミンガム。会場に用意された楽屋は物置部屋で、レストランでの食事も拒否されてしまう。あまりの仕打ちにドンはコンサートを蹴って会場を後にする。

トニーはドンをこの町の黒人専用のバーに食事に連れていく。白人とタキシードの黒人の組み合わせに店中から奇異の目で見られるが、トニーがピアニストだと紹介し、お店のピアノでまず手始めにショパン、そして店のバンドと即興で弾き始めると客も大盛り上がり。

それから大急ぎでニューヨークを目指したが、吹雪に阻まれてしまう。猛烈な眠気に襲われたトニーに代わってドンが運転し、ギリギリでクリスマスのディナーに間に合うようにトニーの家に到着。二人はそこで別れたがーー。


黒人ながらピアノの才能のために優遇されているドン。ゲイでもある彼は「黒人でも白人でも男でもない」と自分のアイデンティティに悩んでいます。南部への旅は、そんな自分を変える勇気を得るための旅だったようです。
粗野で喧嘩っ早いけれど、情に厚く道理がわかっているトニーは、そんな彼を見て黒人に対する偏見を改めます。


最後、ひとり家に戻ったドンが、トニーの家を訪れるシーン。
トニーが家族にドンを紹介すると、一瞬動きが止まりますが、次の瞬間、「彼のために場所を空けろ」と歓迎する様子を見てホッとしたし、トニーの妻ドロレスが、ドンが手紙を書かせたのだと見抜いていたのがよかったです。素敵なラストシーンでした。


最近またBlack Lives Matter などと言って、黒人差別反対運動が活発化してます。この問題は根が深くて、解決は難しいと思いますが、少しでも相手に寄り添える人が増えればいいと思いました。


公式ホームページ:https://gaga.ne.jp/greenbook/

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映画『華氏119』感想

アメリカは今大統領選の真っただ中ですね。日本でも新しい自民党総裁、つまり総理大臣が決まったばかりですが・・・。

 


 

 

 

あんな男が大統領になるわけなんかない。誰もがそう思っていた。

だが2016年11月9日、当選者として発表されたのは、ヒラリー・クリントンではなく、「あり得ない」はずのドナルド・トランプだった。


あれから4年、アメリカは彼の支持層である富裕層に有利な政策を推し進め、弱者は切り捨てた。アメリカの原点であったはずの民主主義は、いまや風前の灯火だった。

その一つの例として、ムーアの故郷ミシガンの水道利権問題を取り上げる。

トランプの古くからの友人であるスナイダーという大富豪が、2010年、ミシガン州の知事に就任した。知事は、緊急事態を宣言して市政府から権限を奪い、さらに金儲けのために、黒人が多く住むフリントという街に民営の水道を開設する。しかしこの水に鉛が混じっており、人々は鉛中毒に苦しむ。知事は頑として問題を隠蔽し続けた。

映画は、支持率が低いはずのトランプがなぜ当選したか、労働者や若者から票を集めたバーニー・サンダースではなくてヒラリーを民主党の候補者に据えたからくりを紐解いていく。そこには複雑な選挙制度が絡んでいた。

とはいえ、腐敗した権力と闘うために、立ち上がった人たちもいる。
フリントの汚染水問題に抗議する地域住民、ウエストバージニア州で教師の低賃金に抗議するために決行されたスト、フロリダ州パークランドの高校銃乱射事件で生き残った高校生エマ・ゴンザレスの銃規制への訴え──。

最後にムーアは、今のアメリカが戦前のドイツに似ていることを指摘し、ヒトラーの映像とトランプの演説をオーバーラップさせる。

トランプは今、再選を目指して突っ走っている。民主主義を、生きる権利を守るため、未来のため、しなければいけないことは──


単にトランプ政権のヤバさを暴く映画と思いきや、アメリカの民主主義そのものが崖っぷちに立っていると訴えかける映画でした。

ヒトラーとトランプのオーバーラップは、手法として陳腐かもしれないけれど、おそろしいほど違和感がなかったですね。

映画としては、いろんなエピソードを盛り込んだため、散漫な、というか、切れ味が悪い印象を受けました。

 

 

 

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短編映画「Bis Gleich」感想

Amazonprimeでドイツ語映画を探していて、「Bis Gleich」という短編映画を見つけました。

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(画像は公式ホームページより https://www.bisgleichfilm.com/


窓辺に座って、道行く人を観察するのがその老人の日課。道路を挟んだ向こう側に住んでいて、同じく窓辺で編み物をする老婦人に挨拶をするのも含めて。
老婦人は、いつしか老人の姿が見えなくなったことに気づく。
思い切って老人の家を訪ねると、彼は寝たきりになっていた。

そこにいた娘に隣人のマルタだと自己紹介した老婦人は、明日の午後看護婦が来るまで、彼の様子を見に行くことを娘に頼まれる。

鍵を預かったマルタは家中に鏡を置く。

目を覚ました老人は、向かいの老婦人がいることにも、家中鏡だらけなのにも驚く。マルタは「ちょっと待ってね Bis Gleich(ビス グライヒ)」と声をかけ、家に戻る。そしていつもの窓辺に座ると、彼がいつも見ていた風景が完成した。

起き上がれない彼のために、外の様子を見られるようにしてあげたのだ。


素晴らしい心遣いですね。彼女の意図に気づいたときの老人の顔・・・!

20分程度の短編ですが印象に残りました。

ほとんどセリフのない映画ですが、筋は簡単ですし、英語字幕もついているので、「ドイツ語分からないから・・・」なんて言わずにぜひ。


YouTubeでも視聴できます。

https://www.youtube.com/watch?v=sIcW-aifN8w

 

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ドイツ映画『美女と野獣』感想

せっかくAmazonprimeに加入しているんだから、映画見なきゃ、それもドイツ語の映画を!と思っても、やっぱりナチス関連の映画が多い…。

いやいや、もっと何かあるはずと、検索かけて見つけました。
余談だが、検索で「どうしてこれがヒットするの?」と戸惑ってしまうほど無関係そうなものがヒットすることあるよね・・・。

童話の映画化、子供向け映画だから、出来はまあそれなりだけど、ドイツ語のヒアリング勉強にはピッタリ。

 


 


 村の居酒屋の娘エルザは、領主から槍の試合の観覧に誘われる。まんざらでもなかったエルザだったが、着ていくドレスがない。父親は亡き妻の形見のネックレスを質に入れるが、大したお金にはならなかった。

 質屋へ行った帰り、父親は森の中で道に迷い古城に迷い込む。そこで一晩過ごした父親は、娘へのみやげにバラの花を手折るが、突然野獣のような男が現れる。怒り狂った男は、バラを折った償いに、家で最初にお前を出迎えたものを身代わりによこせ、と言って家に帰らせた。
 最初に出迎えたのはエルザで、その話を聞くと、「だったら代わりのバラを持っていけばいい」と家を飛び出す。

エルザは野獣と会うが、「お前は俺の妻になるのだ」と言われ城に閉じ込められる。隙あらば逃げ出そうとするエルザに、野獣も「せめて聖ヤコブの日までいてくれ」という。

一緒に過ごすうち、エルザは野獣が、粗野ではあるが教養があり心優しい男であることに気づく。母の形見のネックレスを、お金を払って取り戻してくれたのも彼だった。

心を通わせ始めた二人だったが、約束の聖ヤコブの日が近づいてきた。その前日、野獣はエルザのために晩餐会を開く。

野獣はこの城の秘密について話し始めた。

この城の王と王妃は仲睦まじく、王妃が亡くなると王は一緒に墓に入った。
息子である王子は、民の財産を召し上げ毎晩宴を開いた。
ある老人の財産を奪ったところ、城中に呪いがかけられた。城のバラの最後の一輪が散る前に、「あること」が起きなければ使用人もろとも死んでしまうというのだ。

野獣はエルザをダンスに誘い、最後に改めてプロポーズするが、エルザは拒絶し城を飛び出す。途中雨が降ってきて、落雷した樹がエルザのほうに倒れてきた。それを間一髪で救ったが野獣は怪我を負う。野獣はエルザに財宝を渡して家に帰らせる。

家に戻ると、父親は地代を払わなかったという理由で街でさらし者にされていた。エルザは領主のあまりのやり方に腹を立て、野獣からもらった財宝を投げつけて父を連れ帰る。

領主は、「この財宝はアルボの王のものだ、盗品に違いない」といって追いかけてきたが、エルザは追っ手を振り切って野獣の元に戻る。

エルザが城についたとき、今まさに最後のバラが散り、野獣も息絶えようとしていたが、エルザは思わず「死なないで、愛しているの」とキスをする。その瞬間野獣は生き返り、元の人間の姿に戻ったのだった。

この野獣こそが、このアルボの城の、呪いで野獣の姿にされた王子だったのだ。愛している人から「愛してる」と言われて初めてこの呪いは解けるのだった。

そこへ領主たちがやってきて王子に剣を向けるが、王子は怪我をした体で返り討ちにする。

二人は一緒に父親の元に戻り、結婚することを告げ、村は喜びに包まれた。

原題は『Die Schoene und das Biest』。私はディズニー版をちゃんと見たことがないのですが、この映画は中世が舞台。(領主の圧政に苦しむとか妙にリアルなところも・・・。)
ヒロインももちろん黄色いドレスではなく、使用人たちも、ロバの耳を持つ男と豚の鼻を持つ女となっています。

ディズニー版のような華やかさはないですが、なかなか素敵な映画だと思いました。

 

 

 

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映画『コーヒーをめぐる冒険』感想

邦題だけ見ると、コーヒー談義を繰り広げながら幻のコーヒーを追い求めるロードムービーのようだが、全然違う。

 


 

 

ガールフレンドの家で一晩過ごしたニコは、約束があるから、と彼女が勧めるコーヒーも飲まずに家に戻る。

途中でカフェに寄るが、手持ちの小銭では払えずに店を出てしまう。

慌ててクレジットカードでお金をおろそうとするが、ATMが故障していたのか飲み込まれたまま出てこなかった。困ったニコは父親に電話するが、つながらなかった。

自宅に戻ると、上の階に住む男が妻が作ったというミートボールと酒を手土産に挨拶にやってくる。

飲酒運転のために警察に出向いたニコだが、プライベートにまで踏み込む質問をする心理学者に言い返し、免停になってしまう。

友人のマッツェとともにカフェに寄り、コーヒーを頼むが、コーヒーマシーンが故障中で水を頼むしかなくなる。
そのカフェで女性に声をかけられたが、思い出せない。
その女性・ユリカは9年生のときのクラスメートで、当時非常に太っていて、そしてニコのことが好きだったという。途中で全寮制の学校に転校していた。
今は舞台に出ている、といってその夜の舞台に招待してくれた。

彼の友人の役者が出る映画のロケ先を訪ねる。休憩場所でコーヒーを飲もうとするが、ポットは空だった。

折り返し電話してきた父親に誘われ、ゴルフ場で一緒にプレーをする。プレー後、将来のことを聞かれ、「来年には卒業する」と答えるが、父親は、息子が大学を辞めたことはとっくに承知だった。にもかかわらず黙って仕送りを受け続ける息子に腹を立て、「仕送りは停止する、仕事しろ」と言い渡す。

ニコとマッツェは、遅刻してユリカの舞台に行く。
打ち上げパーティに参加するが、マッツェと演出家で口論が始まる。
外に出たニコとユリカは語り合うが、酔っ払いに絡まれ、かばったニコは殴られてしまう。
介抱するうちに気持ちの高ぶったユリカはニコに身を寄せるが、途中でニコが「やめようよ、過去の清算みたいで・・・」と言った途端にユリカは激高し、ニコに帰るように言う。

バーに立ち寄ったニコはコーヒーを頼むが、マシンを洗った後だということで断られてしまう。
そこへ一人の老人がやってきてニコに酒をおごる。

俺はベルリンの生まれだが、60年ぶりに戻ってきたんだ・・・
子どものころ、「ハイル・ヒトラー」って挨拶させられてたよ
この通りで自転車の練習をしたものさ
ある晩、父親がこの店の前に連れてきて石を投げろというんだ
窓ガラスが地面に散乱して、俺は泣きだした
これでは自転車の練習ができないって・・・

これだけ言うと老人は店の外に出たが、次の瞬間路上で倒れた。
成り行きで救急病院に付き添ったニコ。
自販機でコーヒーを買おうとするが、故障中だった。
翌朝目覚めたら老人は亡くなっていた。身寄りがなくて、下の名はフリードリヒ。
彼についてそれだけしか知らない・・・。

病院をあとにしたニコはカフェに入り、コーヒーを飲む。

 

原題は「oh boy」。「なんてこった、ついていない」というニュアンスの言葉ですが、

コーヒーを飲もうとして、トラブルやらなにかで邪魔が入ってなかなか飲めない、そんなついていない一日の物語でした。


最後に出てきた老人が語るのは、1938年11月9日の「水晶の夜」のことでしょう。ドイツ人によるユダヤ人商店やシナゴーグに対する焼き討ちが行われました。
戦後、ナチス狩りを恐れたのか、親を失って居場所がなくなったのか、ベルリンから離れた少年が、戻ってきてベルリンに死す。
それはそれでよかったのではないか。

マッツェの友人が出ていた映画も、ナチス将校とユダヤ人女性の悲恋を描いたものでしたが、歴史の影を感じますね。

ニコは違和感を抱えて生きている青年で、そのためか大学もやめてしまったし周りに関する関心も希薄。どこへ行っても食事をせず飲み物しか口にしようとしないのは、食べることにも違和感があるのかな?
無常に流されていくだけの日常に、「コーヒーが飲みたいのに飲めない」という小さなアクシデントが、この映画のアクセントになっています。
・・・でも「冒険」じゃないよな、この映画。

わたし的映画の見どころに、ベルリンの街並みがあります。フリードリヒ・シュトラーセ駅界隈とか、壁の跡とか、トラムとか、懐かしい~。

モノクローム画像で描いたベルリンの街といえば『ベルリン 天使の詩』がありますが、あれは天使の目からみた色合いという設定だったけど、多分この映画ではそういう意味ではないよね。

でもベルリンは青空も似合うけど、モノクロームも似合う街だな・・・。


公式サイト:http://www.cetera.co.jp/coffee/

YouTubeにあるドイツ版の予告:https://www.youtube.com/watch?v=OHrZtRt5EKc

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映画『パラサイト』感想

知り合いが二人までも「伏線はりまくりで謎解きも面白い」というので、映画館に見に行く予定にしていたんですが、コロナの影響で行けず、Amazonprimeでやっと見ました。

 

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フリーターのキム・ギウは、事業に失敗してばかりの父ギテク、元ハンマー投げ選手の母チュンスク、美大に行きたいが予備校に通うお金もない妹ギジョンとともに半地下にある家で暮らしていた。全員無職でしがない内職で糊口をしのぐ彼らのもとに、ギウの友人でエリート大学生のミニョクが訪れる。
自分が留学中、家庭教師のバイトの代わりを頼みに来たのだ。

大学生のふりをして、高台にあるIT社長のパク家を訪れたギウは、堂々とした態度で教え子のダヘのみならず、母親のヨンジョの心をつかんだ。そしてダヘの弟ダソンの絵の教師を探していると聞くと、「知り合いに、アメリカで絵画療法を学んだ女性がいる」と、ギジョンを売り込む。

そしてもといた運転手の代わりに父を、家政婦の代わりに母がとって代わることにーーパク一家に寄生(パラサイト)することに成功した。

ダソンの誕生日、パク一家はキャンプに出かける。
広々としたリビングで酒盛りを楽しむギウ達。そこへ追い出された前の家政婦ムングァンが「忘れ物を取りに来た」といってやってくる。

彼女が地下室に向かい、戸棚を動かすと、さらに地下へ向かう秘密の扉が現れる。
この家は著名な建築家が建てた家だったが、核シェルターが作られていた。それはパク一家も知らないことで、前からこの家にいて知っていたムングァンはそこに借金取りに追われた自分の夫のグンセをかくまっていたのだ。

夫を助けてほしいと懇願するムングァンだったが、ギウ一家の秘密を見抜くと、すかさず反撃に出る。

そこへ大雨のためキャンプを中止したパク一家が帰ってくる。

ギウ達は急いでムングァン夫婦を地下室に押し込むが、ギテクともみ合っているうちに、ムングァンは階段を転げ落ち頭を打つ。

ギテクたちは逃げ出すチャンスを逸して、リビングの机の下に隠れる。
ダソンはリビングの前の庭でキャンプをすると言い張り、両親はリビングにとどまる。
そこでパク社長がギテクのことを、「いい運転手だが、一線を越えてこようとする。あいつは臭い。イヤなにおいがする」というのを怒りを覚えながら聞いていた。

すきを見て逃げ出すが、大雨で半地下の家は水浸しになっていた。

避難所の体育館で途方に暮れていると、ヨンジョから「ダソンの誕生パーティをするから来ない?」と電話がくる。

高台の豪邸には着飾った人々が大勢集まってくる。昨日の大雨で多くの住民が避難生活を送っているのを知らぬかのように。ギウをはそれを見ながら、自分はあの中にいてもおかしくないだろうか、とつぶやく。

地下室に向かったギウは、待ち伏せしていたグンセに襲われ頭を殴打される。外に出たグンセは、パーティのただ中に現れて、目の前にいたギジョンを包丁で刺す。それを見たダソンはショックで倒れる。
パーティ客たちは我先に逃げ出し、主であるパク社長はダソンを病院に連れて行くから車のカギをよこせ、とギソクに言う。放り投げたカギはもみ合うグンセとチョンスクのそばに落ちる。それを拾い上げるとき、パク社長は臭いが気になったのか鼻をつまんだ。それを見たギソクは衝動的にパク社長を刺し、そのまま行方をくらました。

何とか命拾いしたギウとチュンスクは、身分を偽りパク家に侵入していた罪で執行猶予がついた。

警察の尾行もつかなくなったころ、ギウは山に登り、今では人手に渡った豪邸を見下ろした。
ふと、チカチカするライトが、それがモールス信号であることに気づいたギウは、ギテクが地下室に隠れていることを悟る。

ギウはいつか金をため、あの豪邸を買い父を救い出すことを心に誓うのだった。

 

 

現代韓国の格差社会を描いた作品といわれています。
酔っ払いが道端で立小便するようなスラム街の半地下になる家に住む一家が、高台のオシャレな豪邸に住むセレブ一家に、家族であることを隠してとりつく。ここまではできすぎなくらい上手くいく。
ダソンに「4人とも同じ臭いがする」と言われ、ヒヤリとするくらいで。

後半、前任の家政婦ムングァンから地下室の存在を明かされた瞬間から歯車が狂っていく。
嘘をバラされたくないギテク一家と、嘘をバラして返り咲きたいムングァン夫婦。小競り合いのさ中ムングァンが死に、もう失うものがないグンセがデスぺレートになり凶行に及ぶ。
常々「使用人」と下に見てくるパク社長から発せられた「臭い」というNGワードに、ギテクが反応して発作的に相手を刺す。

いやまさかこんな結末になるとは思いませんでしたね。


でもなんか、「・・・それほど?」って感じがする。スッキリしないというか・・・。

ダソンの扱いも中途半端な印象。キーパーソンのはずなのに、動かない。
インディアンごっこが好きで絵が得意。でもこれって「モールス信号」を作中に登場させるための仕掛けだったのかな。ボーイスカウトで習うから、モールス信号で助けを呼ぶという。

ソン・ガンホ演じるギテク、無表情なのに、パク社長を刺す瞬間ですら表情を変えないのに、怒りや苛立ちが感じられた。すごいわ。

最初ギウが主人公かな、と思いきやギテクだったというのがこの作品です。

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映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』感想

1980年5月に韓国の光州で起こった民衆蜂起をもとに描いた作品。

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東京で特派員をしていたドイツ人ジャーナリスト・ピーターは、記者クラブである記者が「韓国で政府が戒厳令を敷き、現地の知人と連絡がとれない」というのを聞き、スクープの匂いを嗅ぎつけソウルに飛ぶ。

韓国では全斗煥率いる軍部がクーデターにより実権を掌握。民主化を求める市民はデモを行っていた。

タクシー運転手のマンソプは、報酬の10万ウォンにつられてピーターを光州まで送り届けることに。

軍の検問も何とか胡麻化して光州の街に入るとデモの真っ最中だった。ピーターは学生のジェシクの助けを借りて取材を始める。「光州がこんな危険な状態だとわかっていて連れてこさせるなんて、記者だなんて、俺を騙したな・・・!」ときな臭さを感じたマンソプは、ピーターを置いてトンズラしようとするが、そうこうしているうちに帰るチャンスをなくし、車も故障してしまったので、タクシー運転手のファンの家に世話になる。


ついにデモを行う市民と軍隊が衝突。軍が市民に銃口をむけ、次々に市民が銃弾に倒れる。

一旦はソウルに置いてきた娘のことが心配でピーターを置いて戻ろうとした
マンソプだったが、「光州の人たちを見捨てて帰れない」とばかりに引き返す。病院に行くとジェシクの亡骸のそばで茫然とするピーターをしかり飛ばし、カメラを回すように言った。そして光州のタクシー運転手たちと一緒に、重傷を負った市民を病院に運んだ。ピーターをこの惨劇の一部始終をカメラに収めた。

ファンからソウルへ戻る裏道を教えてもらい、「必ず光州の現状を世界に伝えて」と堅く頼まれる。

やはり検問で捕まるが、タクシー運転手仲間が妨害して逃がしてくれたため、無事に空港にたどり着けた。

別れ際にピーターは名前と連絡先を尋ねるが、巻き込まれるのを恐れたマンソプは嘘を教えた。

ピーターの撮影した映像は世界中に報道され、韓国の独裁政権の実態を世に知らしめた。
ピーターは帰国後連絡を取ろうとするが、偽名だったため、それはかなわなかった。

 

2003年、ピーターは韓国から賞を贈られ、韓国を訪れていた。スピーチの中で「そのときのタクシー運転手との再会を望んでいる」と言ったことを新聞の記事で知ったマンソプは、人知れず涙を浮かべるのだった。


最後にピーターさん本人が出てきましたね。結局タクシー運転手は名乗り出ず、再会はなかったようです。ただ、本作品公開後に、本人の息子さんが「それは父」と名乗り出たらしいです。

ドイツ人記者ピーター役はトーマス・クレッチュマンでしたが、渋オジになっていましたね。そういや最近何に出たんだろ、とネットで調べたらインスタグラムやってて、見てみたらアートな写真をいっぱい投稿してましたね。ベルリンのアートスポットのTachelesで短編映画上映したようだし、そっち方面に行ったか~。

日本で自衛隊や警察が国民に銃口を向けるなんてありえないことに思えるけど、世界にはそんな例はごまんとある。(今まさにアメリカでそういうことが起こっている)

政治に無関心なマンソプが光州の人たちのために立ち上がったのと同じことができるかどうか、自信はない。

光州事件というハードな題材でしたが、ドイツ人記者とタクシー運転手の友情を描いてちょっとだけ心温まる映画でした。

 

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映画『エンドレス・ポエトリー』感想

こういう狂った(←褒めている)世界があるから映画は面白い。
『リアリティのダンス』に続く、ホドロフスキー監督の自伝的映画。

 


ホドロフスキー一家は故郷トコピージャから首都サンティアゴへ移住する。詩を愛するアレハンドロは詩人になることを夢見ていたが、父親から「医者になれ」と抑圧された生活を送っていた。ある日、アレハンドロは従兄リカルドに連れられて、芸術家姉妹の家を訪れる。そこでは、ダンサーや彫刻家、画家、詩人など若きアーティストたちが共に暮らしていた。彼らとの交流の中でアレハンドロは、そこに自分の居場所を見つける。

女詩人ステラ・ディアスとの出会いと別れ、エンリケ・リンやニカノール・パラといった、後に世界的な詩人となる人物たちとの交流によって、新たな世界へと導かれていく。

世界大恐慌がきっかけで失脚し亡命したチリの独裁者イバニェスが、再び支持を得て返り咲いたころ、アレハンドロは単身パリに渡ることを決意。
父親は引き戻そうとするが、それを振り切って旅立つ。


あらすじだけ書くと、「若きアレハンドロの悩み」といった普遍的な物語なんですが、そこはそれ、ホドロフスキーですから。

オープニングからして強烈。サンティアゴの労働者街。刺されて腹から腸がはみ出した酔っ払いがうめいている。すかさず群がり金目の物を剥いでいく子供たち。それを素知らぬふりで通り過ぎる、仮面をつけた群衆。

この「仮面をつけた群衆」は、のちに返り咲いたイバニェスを民衆がナチスの旗を振って出迎えた場面にも出てきます。象徴的だと思いましたね。

また主人公が恋する女詩人ステラがビジュアルからして強烈。赤く染めた髪に白塗りの化粧。詩人パラがその詩「毒蛇女」のモデルにしたという毒々しさ。
あとでキャストを見たとき、同じ女優さんがアレハンドロの母親との二役をやっていたのを知ってびっくり。

圧巻はラスト近くのカーニバルのシーン。赤い悪魔の扮装した人々と、骸骨の扮装をした人々の中、ひとり天使の羽を付けた白いアルルカン姿のアレハンドロ。自分とは何者か?と己の存在理由を問いかける重要なシーンでもありますが、まさに極彩色の悪夢って感じです。

やっぱりホドロフスキーはすごいと思わせる所以です。


公式サイト:https://www.uplink.co.jp/endless/

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映画『スターリンの葬送狂騒曲』感想

1953年。粛清という恐怖でソ連を支配してきた独裁者・スターリンが急死。
その後継をめぐって側近たちの権力闘争が勃発!


 

 

スターリンが倒れたとの一報を受けていち早く乗り込んできた秘密警察の長ベリヤ。小便まみれで床に倒れているスターリンを放置して、他の側近たちの弱みを握れるような書類を入手。
次々に駆けつけてきた側近たちは、スターリンの娘スヴェトラーナに取り入ろうとする。

スターリンは一瞬目を覚ましたが、後継を指名することなくそのまま息を引き取る。

補佐官だったマレンコフを中心に、共同で意思決定をすることで互いをけん制していく。

ベリヤは面倒くさい葬儀委員長をフルシチョフに押し付ける一方、恩赦やモスクワの警備を軍から自分の秘密警察へ交代させ、またモスクワに入る列車の運行を止める。

先手を打って優位に立とうとするも、それをよく思わないフルシチョフたちは、逃げ腰のマレンコフを巻き添えにして、ベリヤを処刑する。


史実だと数か月のスパンで行われたことらしいんですけど、数日間の出来事として一気にまとめたことで、ジェットコースターのような展開になっています。

「もともと補佐官だから、自分が書記長代理」としゃしゃり出て、さっそく肖像写真を撮らせるマレンコフとか、スターリン邸にいた若いメイドをさっそくお持ち帰りするベリヤとか、勲章ジャラジャラつけてマッチョでホモ臭いジューコフとか、
「優秀な医者は処刑されたから、モスクワにはヤブしかいない」というセリフとか、そういうコメディタッチというか皮肉のきいた作品でしたね。

ソ連史はフルシチョフとかぐらいは知っているけれど、あとは全然わからなかったので、勉強になりました。

公式サイト:https://gaga.ne.jp/stalin/

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